最近の筋トレブームによって、それほどハードに筋トレをしてなくても、筋トレ用語だけは知っているという人が増えました。
ただ、「え、その使い方、間違ってるんだけど……」という場面もしばしば。
よく誤解されやすいのが、「バルクアップ」という言葉。
これはただ単純に、体重を増やすという意味ではありません。
今回は、「バルクアップ」という言葉の正しい意味、間違ったバルクアップの特徴、進め方の全体像についてお話します。
- バルクアップとは太ることではない
- バルクアップの目的は「筋肉量を増やすこと」
- バルクアップ時には多くのカロリーを摂取する必要がある
- 正しいバルクアップをするにはコツがある
バルクアップとは、筋肉や筋力を増やすこと
まず、「バルクアップ」という言葉の意味を正しく理解しましょう。
結論から言うと、バルクアップとは、筋肉量(以下「筋量」)や筋力を集中的に増やすことです。
筋量と筋力の違いは後から解説するとして、まずはバルクアップの定義について少し詳しくお話していきますね。
なぜ、私がこのような説明から始めるかというと、筋トレに詳しくない人と詳しい人とでは、「バルクアップ」という言葉の捉え方が違うと感じているからです。
一般的に「バルクアップ」というと、「とにかく太ること」と捉えている人が多いのではないでしょうか?
もちろん、バルクアップをするにあたって、多くのカロリーを摂取するため脂肪は増えます。ですが、それ自体が目的ではありません。
できる限り、脂肪はつけずに筋肉量や筋力を増やす。
それが正しいバルクアップの意味です。
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なお、なるべく脂肪をつけずにバルクアップすることを「リーンバルク」と呼ぶこともあります。
関連記事:【リーンバルク】なるべく脂肪をつけずにバルクアップするための、カロリー摂取量の設定方法
バルクアップとパンプアップの違い:まったくの別物です
たまに、「バルクアップ」と「パンプアップ」の違いがわからないという人がいます。
- バルクアップ:期間を区切り、筋肉量を増やすこと
- パンプアップ:筋肉が一時的に大きくなる現象
例えば、腕立て伏せを30回連続ですると、腕や胸の筋肉が張った感覚になりますよね。そんな感覚を、筋トレ用語ではパンプアップといいます。
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【筋量と筋力の違い】
筋量と筋力は似ているようで違います。
・筋量:筋肉の体積量
・筋力:自分のパワーの限界値
たとえば、先月にベンチプレスで90kgしかできなかったのが、今月に100kgできたとすると、それは「筋力が伸びた」ということになります。
次に、間違ったバルクアップの特徴を見ていきましょう。
ダメなバルクアップの特徴
ここで、よくあるバルクアップの間違いを見ていきましょう。
ダメなバルクアップの特徴その1:脂肪が増えすぎているのに止めない
先ほどもお話したとおり、「バルクアップ=太る」というのが目的になっている例です。
基本的に、お腹に脂肪が溜まるまでバルクアップをするのはオススメしません。
お腹だけではなく、肩や膝などの関節にも脂肪がつくことによって、柔軟性が減ります。
柔軟性が減ると身体の動きが制限されてしまい、トレーニングをするとケガの危険性が増えてしまいます。
理想としては、”うっすら”でいいので、腹筋が6つに割れているような状態を残しておくのがオススメです。太りすぎると、あとで減量をするときにしんどい思いをするので・・・。
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ダメなバルクアップの特徴その2:ひたすらジャンクフードばかり食べる
体重をただ増やせば良いからといって、ジャンクフードばかりを食べてカロリーを稼ごうとする人がたまにいます。
ですが、ジャンクフードは「エンプティーカロリー」といい、栄養価としてのクオリティーがとても低い食べ物です。
よって、ジャンクフードばかりを食べていても脂肪になってしまったり、そもそも身体に悪いので健康的ではありません。
例外的に、まったく脂肪がつかない人がカロリーを増やすためにジャンクフードをわざと食べる例もあります。ただ、やはり身体には悪いため、おすすめしません。
ダメなバルクアップの特徴その3:ずっと弱い刺激しか与えていない
バルクアップ期間では、重いウェイトを扱っていくことが必要になります。
例えば、腕立て伏せを毎日30回やってたとしても、なかなか大きくはなれません。
人間は刺激に慣れる生き物なので、筋肉は「これは重い……もっと成長しないと持てない!」と”ある種の危険”を感じて、大きくなるのです。
腕立て伏せ100回に意味がないとは言いませんが、バーベルやダンベル、マシンなどを使い、重たいウェイトを使用することも大切です。
基本的には、8〜12回で限界がくるような重さを扱えば筋肉は大きくなりやすいです。
トレーニングの方法やメニューに関しては以下の記事で解説しています。
関連記事:バルクアップ初心者へ。トレーニングメニューの具体例を紹介
バルクアップをするには、多くのカロリーを摂取する必要がある
バルクアップをするときは、摂取カロリーを消費カロリーよりも多くする必要があります。
摂取カロリー>消費カロリー
摂取カロリー:自分が食べた食事のカロリー量。単位はkcal
たとえば、ご飯1杯(150g)は、約約270kcal
消費カロリー:自分が1日に消費するカロリー量。
じっと動かずにいても消費するカロリー(基礎代謝量)と、運動で消費するカロリーの合計
人によって例外はありますが、摂取カロリーが消費カロリーを上回っている状態であれば、筋量や筋力は増えやすくなります。
筋トレ愛好家たちは、この状態を作り出し、バルクアップに励むのです。
ただ、筋肉はつきやすくなる一方で、摂取カロリー量が多くなると脂肪もつきやすくなります。
多少の脂肪がつくのは仕方ありませんので、「後で減量するからいいや」くらいに捉えておきましょう。
逆に、摂取カロリーを消費カロリーよりも少なくすれば、体脂肪は落ちていきます。
- バルクアップ
摂取カロリー>消費カロリー - 減量
摂取カロリー<消費カロリー
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どんなスポーツにバルクアップが有効なのか
バルクアップが有効なスポーツと、そうでなスポーツがあります。
バルクアップが有効なスポーツ
基本的に、相手とのぶつかり合いが多く発生するスポーツに、バルクアップは有効です。
- 格闘技
- ラグビー
- アメフト
- サッカー
- 野球
- バスケットボール
- 野球
- ボディビル
など
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一方で、バルクアップがそこまで必要ではないスポーツもあります。
バルクアップが特に必要ないスポーツ
バルクアップが必要ないというより、とくに頑張って体重を増やす必要はないスポーツですね。
- テニス
- バドミントン
- 卓球
- バレーボール
- ゴルフ
など
上記のスポーツは、相手と体がぶつかる事はありません。
一方で、瞬発力や持久力が必要になりますので、筋量というよりは、筋力や筋持久力を増やすことが大切になってきます。
関連記事:筋トレをしても競技の成果が出ない人は、何を間違えているのか?
では次に、バルクアップの大まかな流れを見ていきましょう。
バルクアップの大まかな流れ
バルクアップの全体的な流れは次のとおりです。
- 自分が摂取すべきカロリー量を決める
- PFCを割り出す
- 回数に分けて摂取する
- トレーニングをする
- 休養を取る
すべて大切な項目ですが、バルクアップをするには、カロリー計算スキルは特に重要です。
【PFCとは?】
P:Protein(タンパク質)
F:Fat(脂質)
C:Carbohydrate(炭水化物)
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カロリー計算スキルは重要
バルクアップ中は、自分が何をどれだけの量とっているか、数値で把握することが大切です。
しっかりと数値で管理することで、自分がどのくらいのカロリー量をとれば、体重がどのように増えていくのかという、自分にしか適用しないデータが取れるからです。
人間の体は千差万別です。2,500kcalで十分な人もいれば、4,000kcalを取らないとバルクアップできない人もいます。
カロリー計算をして、自分の「最適解」を見つけ出す必要があるのです。
カロリー計算は、最初はとっつきにくいかもしれませんが、慣れれば本当に簡単です。
- 自分の体重から、おおまかに自分が何kcal摂取するべきか計算する
- タンパク質・脂質・炭水化物の摂取量を決める
慣れたらパパっと頭の中で計算できるようになりますし、それが面倒なら「マイフィットネスパル」といった食事計算サプリを使えば誰でもできます。
カロリー計算については以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:【リーンバルク】なるべく脂肪をつけずにバルクアップするための、カロリー摂取量の設定方法
カロリー計算スキルを身につけるメリット
カロリー計算スキルを身に着けておくと、バルクアップだけではなく、減量にも有効です。
2〜3ヶ月も続ければ、頭の中で「あ、これは◯◯kcalくらいかな」とあたりをつけられるようになります。
慣れたら自分でカロリー調整を簡単にできるようになるため、一生太らないスキルを身につけられるといっても過言ではありません。
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知っておいたほうがいいバルクアップのコツ
バルクアップにはいろいろコツがあるので、まとめておきます。
バルクアップの期間を決める:3〜6ヶ月が目安
バルクアップの期間は3〜4ヶ月に設定しましょう。
最低でも2ヶ月は欲しいところ。
バルクアップにしろ、減量にしろ、目に見えて体の変化が分かるのは最低でも2ヶ月は必要になるからです。
なお、6ヶ月以上のバルクアップ期間を設けるのは、あまりオススメしません。脂肪が増えすぎる可能性があり、減量をするときに大変です。
それに、バルクアップ中は、たいていの場合、たくさんの食事を食べなければなりません。6ヶ月も毎日たくさん食べ続けるのは経済的、メンタル的にも難しいです。
理想としては、「3〜4ヶ月バルクアップをした後、減量で少し脂肪を落とす」というのを繰り返すと良いかと思います。
食べるツラさは覚悟するべきだが、裏ワザもある
日本人には、「どうしても太れない」という体質の人が数多くいます。
痩せやすい体質の人は、バルクアップ中はかなりの量を食べる必要があります。食べるのが嫌いな人は、特にそのツラさは覚悟しておかなければなりません。
とはいえ、裏技もあります。
痩せやすい人は、「トレーニング前、中、後に糖質を摂取している」ことがほとんど。こうすることで、簡単にカロリー量を増やしているのです。
多くの場合は、「カーボパウダー」というジャンルのサプリメントを摂取します。聞きなれないかもしれませんが、「アクエリアス」や「ポカリスエット」も実はこのジャンルのサプリです。
関連記事:初めてのカーボドリンクならこれがオススメ!効果も含めてレビューするよ
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自宅トレーニングでバルクアップはできないのか?
もちろん可能です。
私の友人は、自宅トレーニングのみで、フィットネスコンテストで上位に入賞しました。
とはいえ、腕立て伏せなど、重さを扱わないトレーニングでは筋肉への負荷が軽すぎてなかなか大きくなりません。
自宅トレーニングでバルクアップを目指す場合でも、やはり懸垂バーやダンベルなどは揃えておくのがおすすめです。
関連記事:【保存版】筋トレの効果を10倍に引き上げるおすすめグッズまとめ
体重を増やす最適なペースはどのくらいか?
バルクアップ中は、1週間に「体重× 0.5%〜1%」の体重を増やすことを目標にするといいでしょう。
たとえば体重80kgの場合、1ヶ月で増やす体重は、1.6〜3.2kgってことですね。
このように幅をもたせる理由としては、バルクアップの期間によって、体重の増え方は変わってくるからです。どうしても増えないときもあれば、どっと増えることもあります。固定せずに、幅をもたせておくことによって、「このくらいで増えておけばOK」と精神的な余裕も生まれます。
また、単に脂肪をそんなに増やしたくないと言う場合にもオススメです。
月に5kg、10kgを増やしてる人も中にはいますが、筋肉よりも脂肪のほうが多くついてしまっている可能性が高いです。関節に大きな負担がかかるので、あまりおすすめしません。
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使用しているウェイトが伸びているかも確認しよう
体重だけが増えて、扱う重量が増えてるかわからないのであれば、バルクアップができているかよくわかりません。
たいていの場合、バルクアップ中は扱える重量や、回数(レップ数)が順調に伸びていくものです。
(それらが伸びていなければ、どこか改善点を探す必要があります)
よって、体重だけではなく、自分のトレーニング面での成長具合をノートなどにメモしておくことをおすすめします。
必ず回復期間を作ろう
休まないと筋肉は発達しません。絶対にです。
日本特有の「根性文化」のせいなのか、毎日トレーニングを頑張り過ぎてしまう人が多いです。
初心者の場合、最低でも、週に2〜3日は休むことをおすすめします。
いきなりトレーニング量を倍に増やしたところで、身体がついていけず、ストレスと疲労を溜め込むだけです。
トレーニング強度は徐々にあげつつ、回復日をしっかり作りましょう。
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関連記事:関節があちこち痛いので、回復を促進するトレーニング法を取りれる。
まとめ
- バルクアップとは太ることではない
- バルクアップの目的は「筋肉量や筋力を増やすこと」
- バルクアップ時には多くのカロリーを摂取する必要がある
- 正しいバルクアップをするにはコツがある
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バルクアップに関してはこちらの記事もどうぞ!