ワークアウトハッカー(@Workouthackerjp)です。
筋肥大に効果的な筋トレプログラム、「GVT(ジャーマンボリューム トレーニング)」についてお話します。
GVTの素晴らしい点は、筋トレ初心者だけではなく、経験を積んだトレーニーでも効果が出ていること。ドイツやカナダのウェイトリフティング選手のあいだで使用され、効果が実証されています。
この記事では、GVTの効果や方法、進め方、注意点などをまとめました。これを読めば今日からGVTを始められます。
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GVT 概要:筋肥大に効果的なトレーニングプログラム
ジャーマンボリューム・トレーニング(以下「GVT」)とは、筋肥大に特化したトレーニングメニューで構成されたプログラムです。減量時にも、バルクアップ時にも使えます。
トレーニング内容は次のとおり。
- 使用重量:1RMの60%
- セット数:10セット
- レップ数:各10回
- レストタイム:60~90秒
たとえば、ベンチプレスで100kgを1回あげられるのなら、メニューは次のようになります。
- ベンチプレス60kg、10セット、10レップ
(100kg×60%=60kg)
ただし、あくまでも「筋肥大」に特化したトレーニングプログラムなので、筋力をメインに伸ばしたい場合には選択すべきではありません。
また、筋トレ完全初心者向けではなく、筋トレ歴半年以上など、ある程度の経験をこなしている人向けです。もちろん、中級者や上級者にも使用されています。
ドイツのウェイトリフターが使用していたことで有名に
GVTは、もともとドイツのウェイトリフターがオフシーズン中にバルク(筋量)をつけるために採用していた方法です。
経験が長いトレーニーでも、12週間でものすごい筋量をつけていたそうで、世界中に広がりました。
(経験が長いと筋肉はつきづらくなります)
70年代、ドイツのウェイトリフティングコーチ「ロルフ・フェザー」が開発したと言われています。カナダのウェイトリフティング選手のあいだでも使用され、注目を集めていたとのこと。
なお、ウェイトリフティングのスキルアップには直結しません。あくまでも、筋力をつけるベースとなる筋量アップのためのメニューです。
つまり、「筋量は増えるが、競技スキルが向上するわけではない」ということです。
GVT:メリット
GVTメニューを採用するメリットについてまとめました。
トレーニングボリュームが多いので、筋肥大に効果的
トレーニング量を数値化したものを、「トレーニングボリューム」と呼びます。具体的には、以下の計算方法で算出できます。
使用ウェイトの重さ×レップ数×セット数=トレーニングボリューム
たとえば、スクワットで100kgを使い、10レップ、3セットをおこなうと、トレーニングボリュームは「3,000」になります。
- 100kg×10(レップ)×3(セット)=3,000
これをGVT式にすると、トレーニングボリュームは「10,000」になります。
- 100kg×10(レップ)×10(セット)=10,000
3,000に対して、10,000。トレーニングボリュームは3倍以上になりますね。
一般的には、「トレーニングボリュームが多いほうが、筋肥大に効果的」と筋トレ界では言われています。
(トレーニング量が多ければ多いほど良いというわけでもないのですが・・・)
事実、日本のトップ10に入るようなボディビルダーは、トレーニングボリュームが非常に多いことで知られています。現時点で、ボディビル日本チャンピオンの「鈴木雅選手」は脚のトレーニングだけで計40セット以上もおこなっています。
筋持久力アップ
GVTであつかう重量は軽めで、レップ数は合計で100回にもなります。さらに休憩時間が60秒と短いため、筋肉の持久力が向上します。
ジムにいる時間が少ない
GVTでは休憩時間が60〜90秒と短く、その他の補助種目は3つほどなので、およそ40分ほどでトレーニングを終えることができます。
仕事などの都合でジムの時間がとれなくても、「筋肥大をあきらめる必要はない」ということですね。
苦手な部位を鍛えやすい
「苦手な部位をトレーニングするとき、重たいウェイトを使うと効いてる気がしない」という経験、ありませんか?
GVTでは軽いウェイトを使うため、筋肉をコントロールでき、効かせやすくなります。
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GVT:デメリット
筋力アップには特化していない
GVTでは、扱う重量が軽めなため、筋力アップには向いていません。
筋力がまったく伸びないわけではありませんが、筋力アップがメインのプログラムと比べると、やはり劣ります。
痛くてツライ
効果が高いほど、その代償も大きくなります。
3,4セット目まではツラくないのですが、5〜6セット目以降からは強いパンプが襲ってきます。パンプが好きな人でさえ苦しむほどの痛みです。
また、心肺機能を酷使するスクワットでGVTをすると、慣れていなければ最初は吐くと思います。
GVTの基本的なトレーニングルーティン
GVTを世界に広めたカナダの「Charles R. Poliquin」というトレーナーによると、初めてGVTをおこなう人には、次のメニューが推奨されています。
なお、筋トレを最低でも半年以上は続けている人が対象です。
- 胸、背中
- 脚、腹筋
- オフ
- 肩、腕
- オフ
- オフ
リピート
胸と背中を同日に、脚と腹筋、肩と腕、といった3分割でメニューを組みます。
トレーニング内容:
- 使用重量:1RMの60%
- セット数:10セット
- レップ数:各10回
- レストタイム:60〜90秒
参考:German Volume Training Revisited and Expanded – STRENGTH SENSEI
「Charles R. Poliquin」は胸と背中、大腿四頭筋とハムストリングスをそれぞれスーパーセットで鍛える方法を紹介していますが、日本のジム環境だとスーパーセットは禁止されていることが多いので、ここでは紹介しません。
GVT:トレーニング サンプルメニュー
胸、背中:
種目 | セット数 | レップ数 |
インクライン・ダンベルプレス | 10 | 10 |
懸垂 | 10 | 10 |
インクライン ダンベルフライ | 3 | 10−12 |
ダンベルロー | 3 | 10−12 |
懸垂ができない場合は、後述するように「ラットプルダウン」や「バーベルロー」に変更しても大丈夫です。バーベルローに変更する場合、4種目に懸垂もしくはラットプルダウンをおこないます。
脚、腹筋:
種目 | セット数 | レップ数 |
バックスクワット | 10 | 10 |
レッグカール | 10 | 10 |
カーフレイズ | 3 | 10−12 |
クランチ | 3 | 10−12 |
肩、腕:
種目 | セット数 | レップ数 |
スタンディング バーベルショルダープレス | 10 | 10 |
シーテッド ダンベル サイドレイズ | 3 | 10−12 |
フェイスプル | 3 | 10−12 |
バーベルカール | 3 | 10−12 |
スカル クラッシャー | 3 | 10−12 |
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中級者向けのGVTは、次のサイトが参考になります(英語)
参考:The Return of German Volume Training | T Nation
GVT:基本的にコンパウンド種目をえらぶ
各部位で、推奨されるGVT種目です。
基本的には、たくさんの筋肉を使う「コンパウンド種目」を採用します。
胸
- ベンチプレス
- インクライン ベンチプレス
- ディクライン ベンチプレス
バーベルでもダンベルでも可能です。ただ、ダンベルの場合だと、セット後半に疲れてしまい、ダンベルをセット開始のフォームまで持ってくるのが大変です。個人的には、より安定性のあるバーベルをオススメします。
背中
- バーベルロー
- ダンベルロー
- 懸垂
- ラットプルダウン
- クロースグリップ
- ワイドグリップ
デッドリフトは握力が疲れてしまい、セット後半になるとフォームが崩れやすく、腰に負担がかかるのであまり推奨されていません。
懸垂(プルアップ)の場合、体が軽くて、正しいフォームで20回ほどスイスイできるなら、採用してもOKです。
脚
大腿四頭筋の場合
- フロントスクワット
- バックスクワット
- レッグプレス
- ハックスクワット
ハムストリングスの場合
- シーテッド レッグカール
- ライイング レッグカール
ハムストリングスの場合、「ルーマニアンデッドリフト」は腰がパンパンになってしまい、負荷が大きいため、マシン種目をえらぶといいでしょう。
肩
- バーベルショルダープレス
- スタンディング
- シーテッド
- ダンベル シーテッド ショルダープレス
- ダンベル サイドレイズ
腕
腕の場合、胸・背中・肩のトレーニングでたくさん使われるため、GVTはやりません。肩のトレーニング日に、補助種目として1〜2種目おこないます。
Q&A:よくある質問
各部位のトレーニング頻度は?
非常にハードなトレーニングプログラムなので、各部位は週1回きたえるだけでOKです。
中級者以降の場合は、中5日くらいで回すといいでしょう。
どのくらいの期間続ければいいの?
最低でも2ヶ月は続けて様子を見ましょう。
人間の体はそんなにすぐ変わるものではありません。個人的には、そのプログラムを評価するには最低でも2ヶ月は必要だと思っています。
といっても、3ヶ月もすれば体が慣れてきます。じゅうぶんに筋量が増えているはずなので、次は筋力を注ぎ込みましょう。
筋力アップをメインにしたプログラムはこちらをご覧ください。
関連:計1トンを挙げるパワーリフターが開発した、筋力アッププログラム「5/3/1」
重量の増やし方は?
すべてのセットで10レップできるようになったら、重量を2.5〜5%増やします。
ベンチプレスで100kgを使用していたら、次は102.5kgにするってことですね。軽すぎたと感じるのなら、5%増やします。つまり105kgにするのです。
なお、どのプログラムでも、重量の増やし方は「小さく、かつ着実に」が基本です。
どんな人に向いてるプログラムなの?
ボディビル選手、ウェイトリフティング選手、パワーリフティング選手など。
球技などスポーツ目的の場合は、個人的にあまりおすすめしません。というのも、スポーツではむやみやたらに筋肥大をしてしまうと、「使えない筋肉」になってしまう可能性が高いからです。
ただし、GVTの後に「筋力アップ」や「筋出力アップ」が目的のプログラムをする予定があるなら、GVTは非常に有効だと思います。つまり、GVTでつけた筋量を「使える筋肉」に変えるってことですね。
なお、「使える筋肉」「使えない筋肉」については、以下の記事でお話しています。
関連:筋トレをしても競技の成果が出ない人は、何を間違えているのか?
人によってプログラム内容が少し違うけど…?
GVTが開発されてから、いろんなトレーナーが改良を重ね、それぞれ独自のGVTを発表しています。
どれが正解、不正解ということはありません。いろんな意見を参考にするといいでしょう。ただし、本記事に書いてあることが基本です。やり方がわからなければ、基本を知ってから、他の応用編に挑戦してみてください。
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GVTをするときの注意点
キツくても重量は下げない
最初はおそらく、10セット10レップはできないと思います。
おそらく、5セット目以降から、7レップだったり、ときには6レップで終わってしまうこともあるでしょう。ですが、それが正解です。むしろ、難なくできるのなら、重量が軽すぎます。増やしましょう。
レップができなくなってきても、重量を下げないように。あくまでも、「すべて同じ重量で10セット」がルールです。
キツくなって、フォームが崩れたらそのセットは終了です。チーティングを使用したレップはカウントに含みません。
- ベンチプレス:ベンチに両足を置き、ブリッジの角度を非常に高くする
- バーベルロー:上半身を振ってバーベルを引く
- スタンディング・ショルダープレス:膝を曲げ伸ばして、反動をつけてバーベルをあげる
メモをとり、時間を計測する
GVTをするときは、ストップウォッチやスマホを使って、休憩時間の60〜90秒を確実に測ります。
また、休憩中にはレップ数を記録し、自分がどのセットで10レップまで到達できなかったかを可視化しましょう。次のトレーニングでの目標設定に使用します。
すべての部位でGVTをする必要はない
体のすべての部位でGVTを採用する必要はありません。自分の弱点部位だけにたいしてGVTをおこなう、といった採用方法も可能です。
例えば、私の背中は他の部位より発達しやすいため、GVTはやりません。ボコボコと隆起した背中を作るには、上、前方、下など、いろんな角度から引いて鍛えることが必要になります。GVTだと種目数が減り、様々な角度から鍛えることができないのです。
一方で、大胸筋は泣きたいくらいに貧弱な部位です…。また、脚は弱点ではありませんが、もっと太くしたいため、これらの部位はGVTを重点的におこないます。
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GVT まとめ:筋肥大に特化したトレーニングプログラム
GVTの内容をまとめます。
- GVTは筋肥大に特化したトレーニングプログラム
- 各部位でメイン種目をひとつ選び、10セット、10レップおこなう
- 休憩時間は60〜90秒
- キツくなっても重量は下げない
- すべての部位でGVTをおこなう必要はない
関連リンク:
GVTは非常にハードなトレーニングです。強度の高いトレーニングをする場合は、トレーニング中からワークアウトドリンクを摂取すると、筋肥大がさらに加速します。
私がオススメするのは、カーボドリンクとEAA(必須アミノ酸)です。どちらか一方だけをトレーニング中に摂取するよりも、ふたつを組み合わせたほうが、圧倒的に筋肥大したということが研究でも明らかになっています(研究)。
カーボドリンクとEAAについては、以下の記事で詳しくレビューしているので、ぜひ読んでみてくださいね。
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