トレーニングの分割方法のひとつ、「プッシュ・プルルーティン」の方法を紹介します。
今日からでも始められるよう、具体的なトレーニング種目についても触れています。
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基本的なプッシュ・プル分割の組み方
プッシュ系の筋肉を鍛える日と、プル系の筋肉を鍛える日に分けてトレーニングをする分割法を「プッシュ・プルルーティン」と呼びます。
▼プッシュ系(押す系)の筋肉
- 大胸筋
- 肩
- 上腕三頭筋
- 大腿四頭筋
▼プル系(プル系)の筋肉
- 背中
- 広背筋
- 大円筋
- 僧帽筋
- 脊柱起立筋
- 上腕二頭筋
- 三角筋後部
- ハムストリングス
これらを日に分けて、交互に鍛えていきます。
- プッシュ → プル → プッシュ → プル
休みは頻度によって変わる
トレーニング頻度によって休憩日は変わるため、記事後半の頻度別トレーニングを参考にしてください。
その他の部位はどうする?
基本的な分割例では、腹筋とふくらはぎ(カーフ)が入っていません。
ふくらはぎはプッシュ、プルどちらに入れてもOKです。練習量を考えると、プッシュデイにしたほうがバランスが取れます。
前腕は、プルの日に多く使うのでプルデイに組み込むか、休養日におこないます。重要視していない人は鍛えなくてもいいでしょう。
腹筋はプッシュ、プル、休みの日、好きな日におこなってください。
プッシュ・プル分割のメリット
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筋トレ初心者が始めやすい
プッシュ・プル分割は、最低週2回から始められます。ハードルはさほど高くないため、筋トレ初心者には適したトレーニング分割です。
トレーニング日が少なくても全身を鍛えられる
一度に多くの筋肉を鍛えるため、週に2回しかジムに行けない人でも全身を鍛えられます。また、「土日しか時間がない」という場合でも、鍛える部位がかぶらないのもメリットです。
中級トレーニーも採用できる
プッシュ・プル分割は、筋トレに慣れた人にも応用できます。
トレーニング頻度を増やすことができるため、筋肉への刺激が増えます。「プッシュ・プル・レッグス」の3分割よりも部位が回ってくる感覚が短いため、「筋肉への刺激 → 回復 」 のサイクルを短くできるのもメリットです。
ひとつの部位に対して種目やセット数が少ないので、ダレることなく集中できます。
プッシュ・プル分割のデメリット
初心者トレーニーにとってはさほど問題ではありませんが、ひとつの部位のトレーニング種目数が減ります。筋トレに慣れているトレーニーなら、もどかしく思うはずです。
しかし、よくある「5分割ルーティン」より、筋肉を刺激するサイクルは早くなります。
(5分割:胸、背中、肩、腕、脚という一般的な、ボディビル的トレーニング分割)
もうひとつのデメリットは、体力的にきつい点です。
一度のトレーニングで鍛える部位が多いので、全身的な疲労が襲ってきます。慣れたら問題はありませんが、慣れるまではトレーニング後に眠気が襲ってくるでしょう。
プッシュ・プル分割がおすすめな人
- 筋トレを初めたばかりの人
- トレーニング時間がなかなかとれない人
- 脚の日を作りたくない人
- 4〜5分割でいまいち体が変わらない中級トレーニー
最近、トレーニングのマンネリを感じているという中級トレーニーは、後述する週4日のプッシュ・プル分割を試してみてください。
プッシュ・プル分割:週2回の場合
週2回のプッシュ・プル分割は、トレーニング初心者向けの内容です。まんべんなく、大きな筋肉を鍛えるのに適しており、老若男女問わず採用できます。
「トレーニングの時間はあまり取れないけど、全体的に体を大きくしたい」「健康を維持しつつ、ちょっとくらいマッチョになりたい」という人に向いています。
トレーニング種目例
▼プッシュ
- スクワット
- ベンチプレス
- ダンベルフライ
- ショルダープレス(バーベル or ダンベル)
- ダンベルサイドレイズ
上腕三頭筋の種目がありませんが、ベンチプレスやショルダープレスなどでも三頭筋へ刺激は入るため、ここではあえてメニューに組み込んでいません。
▼プル
- デッドリフト
- 懸垂 or ラットプルダウン
- ダンベルローイング
- プローンレッグカール
- ダンベルカール
▼セット数・回数
- 1セット10回、各3セットずつ
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休養日:例
- 月曜日:プッシュ
- 木曜日:プル
※それ以外はオフ
この場合、各トレーニング日のあいだに2〜3日休むのが理想ですが、週末しか時間が取れない場合は2日連続してトレーニングしても問題ありません。
プッシュ・プル分割:週3回の場合
トレーニング初心者〜中級者向けなのが、週3日のプッシュ・プル分割です。
週によって、プッシュを2回、プルを2回おこなうルーティンになります。
- プッシュ
- オフ
- プル
- オフ
- プッシュ
- オフ
- オフ
週2日の分割に比べると頻度が増えるため、筋肉の成長は早くなるでしょう。がっつり鍛えたいという人は、トライしてみてください。
トレーニング種目例
基本的には週2日分割の種目とあまり変わりません。
週の2回目のプッシュデイは、種目をバーベルからダンベルにしたり、マシンにしてもいいでしょう。
詳しくは、次の「週4日のプッシュ・プル分割」の種目を参考にしてみてください。
プッシュ・プル分割:週4回の場合
トレーニング中級者以降の場合、週4日に挑戦してみください。
具体的に、次のような人に向いています。
- プッシュ、プル、レッグスの分割に慣れてきた
- 4〜5分割でいまいち筋肥大していない
- 筋肉に効かせるテクニックを50%以上習得している
※50%は感覚で構いません。
関連:筋肉を大きくするために筋トレ初心者が最初に知っておくべきこと
メリット
- 筋肉を刺激する頻度が増える
- 週4回にすることで消費カロリーが増える
- 減量期や、メンテナンス期間に
デメリット
- 体力的につらい
- 一度のトレーニング時間が長くなる(60〜90分)
- 腕や三角筋前部/後部など、小さい筋肉を鍛える種目が減る
工夫次第ではトレーニング時間を短くすることはできますが、最低でも60分のトレーニング時間を確保しておいたほがいいでしょう。
概要
週に2回ずつプッシュ、プルをおこなうため、頻度が増えます。そのぶん、セット数は各種目で2セットと短めにします。
休養日は次のように設定します。
▼休養日例
- プッシュ
- プル
- オフ
- プッシュ
- プル
- オフ
- オフ
もっとがっつりやりたいマニアックな人なら、次のようにすることもできます。
- プッシュ
- プル
- オフ
- プッシュ
- プル
- オフ
→ リピート
プッシュ1と2、それぞれ同じトレーニング種目でもいいのですが、筋肉への刺激を変えるために種目や回数(レップ)を変更するのもおすすめです。
週の前半は高重量を使って低回数、後半は中重量を使って中〜高回数と、変化をつけてみましょう。
- プッシュ1、プル1
- レップ数:6〜8レップ
- セット数:2
- プッシュプル2、プル2
- レップ数:8〜12レップ
- セット数:2
トレーニング種目例
▼プッシュ1
- ベンチプレス
- インクラインベンチプレス
- ダンベルサイドレイズ
- バーベルアップライトロー
- レッグプレス
- スミスマシンスクワット
- カーフレイズ マシン
- トライセプス プレスダウン
大胸筋に関しては、ベンチプレスやバーベル系の種目を多めに。優先したい部位から鍛えるのが基本ですが、とくにこだわりがなければ大胸筋もしくは足からはじめるといいでしょう。
▼プル1
- デッドリフト
- バーベルロー
- ダンベルローイング
- ベントオーバー ダンベル リアレイズ
- ルーマニアンデッドリフト
- プローンレッグカール
- バーベルカール
- ダンベルカール
デッドリフトは床から引くタイプのデッドリフトでもいいですし、膝あたりから引くラックプル(ハーフデッドリフト)でもいいでしょう。
プル1ではローイング系の種目が多くなります。
▼プッシュ2
- フラットダンベルフライ
- インクラインダンベルフライ
- ディップス or ダンベル・プルオーバー
- インクラインダンベルサイドレイズ
- ケーブルサイドレイズ
- オプション バーベルプレス(ミリタリープレス)
- スクワット
- レッグプレス or レッグエクステンション
プッシュ1とは違い、大胸筋ではバーベルではなくダンベル種目を多めにしています。
▼プル2
- 懸垂
- ラットプルダウン
- パラレルグリップ
- リバースグリップ
- ロープーリーロー
- バックエクステンション
- プローンレッグカール
- インクラインダンベルカール
- ケーブルカール
見てのとおり、種目数が多いです。そのため、ひとつの種目で3セットおこなうと、2時間ほどのトレーニング時間が必要になります。時間があれば3セット、時間を短めにしたければ2セットと、セット数を工夫してみましょう。
なお、腹筋やふくらはぎは好きな日におこなってください。
週4日のプッシュ・プル分割を進めるコツ
初めて試す方へ、コツをまとめました。
▼メインで伸ばしたい種目を決める
筋肥大をするには、なるべく重たいものを扱うのが基本です。たとえば、ベンチプレス、スクワット、デッドリフトを伸ばすと決めたら、それらをなるべく1種目に設定しましょう。
パワーラックがあいていなかった場合はあきらめて、他の種目から始めます(決してパワーラックの後ろでプレッシャーをかけて待たないように…)。
メインの種目を伸ばすとなると、休憩時間が1分では短くなります。BIG3を伸ばす場合、最低でも3分は必要です。理想は5分。
しかし、メイン種目に時間をかけると、他の種目をする時間がなくなります。時間が無限にあるならいいですが、そうでない場合はメイン以外の種目では、休憩時間を短くすることをおすすめします。
他の種目は1分くらいでぱっぱとテンポよく終わらせていくようにします。
▼背中、大胸筋、足について
毎回同じ種目でも悪くはないのですが、異なる種目をおこない、筋肉への刺激を変えるのもおすすめです。
背中はローイング種目とラット系種目で分けます。プル1ではデッドリフトやダンベルローイングなど、下から引く系の種目を選んでいます。一方で、プル2では、懸垂やラットプルダウンなど、上から引く系の種目が多めです。
大胸筋は、バーベル種目とダンベル種目で分けます。バーベル種目で筋力アップを狙い、ダンベル系の種目でストレッチ刺激を与えています。
足はフリーウェイトとマシン系で分けています。バーベルスクワットで足と全身の強化、レッグプレスで足を集中的に刺激しています。レッグプレスは安全に、腰への負担が少なく、高重量を扱えるのがメリットです。
▼追い込みすぎない
たとえば、プッシュ1で追い込み過ぎたら、筋肉痛がひどくなり、プッシュ2ではトレーニングになりません。プルでも同じです。
よって、追い込むのはほどほどにしてください。1回目での疲労が80%ほど回復した状態で、2回目のトレーニングにのぞむのが理想です。
ここでのコツは、本気のセットは2セットに抑えること。
経験上、1回目のトレーニングで、すべての種目で3セットおこなうと、次のトレーニングでは完全に回復しておらず、満足のいくトレーニングはできないことが多々ありました。
もちろん、年齢や体質、部位によっても回復スピードは変わるため、その場合はセット数を増やしてもいいでしょう。
▼回復系のサプリを摂取する
週4日のトレーニングは非常にハードです。BCAAやグルタミンなど、回復を早めるサプリメントの摂取をおすすめします。
好きなサプリを摂取すればいいですが、コスパの面でいうなら「エクステンド」というBCAAがおすすめです。グルタミンのおすすめは別記事にまとめていますので気になる方はチェックしてください。
関連:ベストはどれ?グルタミンサプリおすすめ5つ。国産、海外産まとめて紹介
※週5日は頻度が多く、筋肉の回復が間に合わない可能性が高いため、当記事では紹介しません。
トレーニング分割に正解はない
よく、「これとこれだったら、どちらの分割方法がいいですか」と質問を受けます。
しかし、100%正しい分割方法は存在しません。目的によってトレーニング方法は変わるからです。
よって、少なくとも2ヶ月は試してみて、体が実際に変わっているのか確認しながら進めることをおすすめします。
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