背中の筋トレは、初心者や経験者に関わらず、多くのトレーニーが苦戦する部位のひとつです。背中は目で見えないので、意識しづらいんですよね。
私もトレーニングを始めてから数年は、背中の筋トレをしても、どこに効いてるのか、どの筋肉が動いてるのか、さっぱりわからないままやっていました。
今思うと、本当にムダな期間でした。
「続けてさえいれば、いつかできるようになるだろう」という間違った考えでトレーニングしていたからです。
部位別トレーニング法 -胸と背中、腹編-: 山本義徳 業績集 10 山本義徳業績集
自身もボディビルダーであり、ダルビッシュ有選手などアスリートのトレーナーも務める「山本義徳」さんのトレーニング指南本です。
読みながら、「背中の筋トレをするなら、まず初めに解剖学を理解しておかないと時間のムダだ」とあらためて痛感しました。
胸や肩の場合、多少適当にトレーニングしても、ある程度までは発達します。
ですが、背中は基本を理解しないままだと、非常に苦戦します・・・。
今回は本書を読み、再確認したこと、勉強になったことを紹介していきます。
筋肉の動きを理解すると、応用力が身につく
背中の筋肉は、主に以下の筋肉で構成されています。
- 広背筋
- 大円筋
- 僧帽筋
- 脊柱起立筋
これらの筋肉の動きは似ていますが、詳しく見ていくと微妙に違います。
よって、それぞれの筋肉の動きや構造に合わせて、トレーニングフォームや姿勢を作らなければいけません。
本書では、背中の解剖学を初心者でもわかるように噛み砕き、そこからトレーニングフォームの作り方を解説しています。
体系的に学ぶことができ、「この筋肉を狙うなら、こういった姿勢にすればいいな」と、自分で考えられる応用力も身につくと感じました。
横への広がりを作る筋肉
背中の広がりを作るには、「広背筋」や「大円筋」を鍛えるのがコツです。
- 広背筋:いわゆる「逆三角形の背中」を作るのに大きな部分を占める筋肉
- 大円筋:広背筋の上、脇の下にある筋肉。発達していると背中がより広く見える
この2つの筋肉、動きこそ似ているものの、それぞれ構造が違います。
広背筋は、腕の骨から、背骨や骨盤に向かってついています。
動きとしては、「遠くのものを自分の身体に引きつける」動作になります。
大円筋は、腕の骨から、肩甲骨にくっついています。つまり、腕の骨と肩甲骨を近づける動きになり、広背筋を鍛える場合とは異なります。
「筋肉がどこからどこにくっついているか」
これだけでも、筋トレのフォームはガラッと変わります。大切なのは、それを筋トレ素人のときに知ることができるかどうか、です。
繰り返しになりますが、背中は適当にやっててもまったく発達しない部位なので・・・。
チンニングとラットプルダウンの違い
広背筋と大円筋の筋トレの違いの他に、本書では「チンニングとラットプルダウンの違い」についても記載されています。
詳しくは本書を読んでいただければと思いますが、ざっくり言うと、違いは「体の固定ポイント」です。
チンニングの場合、バーにぶら下がっているので下半身が自由になります。
一方で、ラットプルダウンは下半身を固定しています。
つまり、エクササイズの難易度がガラッと変わるんですね。
個人的な経験で言うと、ラットプルダウンをやっても背中はなかなか変わりませんでした。
ですが、チンニングを取り入れてからは背中が明らかに広くなり、筋力も向上しました。
なお、ラットプルダウンではどんなバーを使用するべきか、どんな手幅で握ると科学的に最も効率的か、という点も非常に参考になりました。
山本先生がおすすめする、チンニングのバリエーションも必見です。
ローイングをするには下半身の固定が必要不可欠
背中の「デコボコ感」を出すには、ローイング系の種目が必要不可欠です。
ローイング種目は下半身をうまく使うことが大切。特に、ハムストリングスと臀部を固定することで、ローイング系動作が格段にやりやすくなります。
横への広さを出すためにチンニングやラットプルダウンを行うトレーニーは多いのですが、個人的にはローイング系種目を重視しています。というのも、「横への広さ」は、誰でもある程度はつけることができますが、デコボコ感を作るのは本当に難しいからです。
本書では、トレーニング中級者にありがちな間違ったフォームも解説されていて、中級者は「うわ、これ自分のことじゃん…。間違ってたんだ…。」と自分のフォームを見直す良いキッカケにもなるでしょう。
デッドリフトの攻略。フルデッドリフトは本当に必要か?
背中のトレーニングで避けては通れないのがデッドリフト。
背中の筋肉のほぼ全てを刺激でき、かつ高重量を扱える、効率の良いエクササイズです。
デッドリフトには色々なバリエーションがあります。
関連:デッドリフトのバリエーション11個:どの種目を選べばいいのか?
その中で山本先生がおすすめするのは、「スナッチグリップ・デッドリフト」。バーを広めに持って、膝あたりからバーベルを引くタイプの種目です。
膝あたりから引くデッドリフトを「トップサイドデッドリフト」や「ラックプル」と呼びます
床から引くタイプのデッドリフトだと、ハムストリングスや臀部への刺激が強いため、 背中を集中的に鍛えるには、膝上あたりから引くほうが良いとのこと。
今まで実践してきたことが、解剖学的に解説されていて、納得することができました。
とはいえ、通常のデッドリフトがダメということではなく、目的に合わせて種目を選ぶことの大切さを再確認しました。
マックス
背中のトレーニングの質を上げる一冊
背中のトレーニングが解説されている部分は、およそ30〜40分で読むことができます。たったそれだけの時間で、これからずっと背中トレーニングの質が上がるのであれば、とてもコスパの良い投資です。
「トレーニング初心者の頃に読んでいれば、もっと早く背中を大きくできただろうなぁ」と、読みながら少し悲しくなりました。
筋トレ初心者ほど読んで欲しいと思います。
最初から良い癖をつけないと、背中は本当に苦労しますから…。
なお、山本先生の本は「キンドル・アンリミテッド」に入っていれば無料で読めます。月額980円かかりますが、初月無料です。
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胸の解説についてもまとめていますので、参考にしていただけると幸いです。