2018年6月18日、大阪で最大震度6弱の地震が起きた。私は震源地に近いところに住んでおり、影響をもろに食らった。
日本は地震大国。明日にでもあなたの住む地域で地震が起きてもおかしくはない。私の体験が、あなたの「地震への準備」を促すことができれば幸いだ。
地震の様子
6月18日 7時58分「ズドンと突き上げられる衝撃」
地震が起きた当日。7時30分頃に私と娘(2歳)が起床した。
前日から娘の体調が悪く、熱が37.3度ほど出ており、少しグズる。嫁はすでに仕事に出ており、家には私と娘の2人だけ。
子どもは平熱が高く、多少の熱があっても時間とともに下がることが多くある。少し様子を見ようとベッドでゴロゴロしていた。
しばらくして、娘が笑い始めた。
「あ、いつもの調子に戻ってきたなー」と思った次の瞬間、
「ズドンっ」
と鈍い音がして、下から何かに突き上げられた衝撃を感じた。一瞬、何が起きたのかわからず。
次の瞬間、家が信じられないほど揺れ始めた。同時にスマホからけたたましいほどの警報が鳴り、恐怖心を煽る。
「ガタガタ」どころではない。
「ゴロゴロゴロゴロ」とまるで地面が移動しているかのようなうねり声を上げ、左右に揺さぶられた。地面の揺れが身体に直接伝わってくるような、強いエネルギーで家が潰れると思った。
「あ、ここで死ぬかも。」と、危険な状況なのになぜか冷静にそう思った。大げさだと思うかもしれないが、震源地あたりに住む知人たちは口を揃えて「死ぬ覚悟をした」と語っている。
激しく揺れ、まったく立ち上がることができない。10〜20秒ほど揺れた後、近くにいた娘を抱きかかえ、スマホを持って家の外へ裸足で飛び出した。靴を履く余裕なんて一切ない。
まっさきに目に飛び込んできたのは、道路に散乱する屋根瓦の破片の数々。向かいの家の屋根から落下した物だ。
呆然としていると、隣人が焦った様子で走って帰ってきた。「地面が割れてます」という言葉を聞き、こちらの焦りも増す。
なんだよ「地面が割れる」って、ドラマかよ。自分の心臓が「バクバクバク」と高鳴っているのを感じ始めた。
多くの人が外へ飛び出しており、みな怯えた様子だ。梅雨時期の6月だというのに、少し寒かったことを妙に覚えている。
娘の顔を見ると「キョトン」としていた。何が起きたのかわからないのだろう。無理もない、まだ2歳だし。
ただ、何か異変があったことは理解している様子で、私のTシャツを小さい手で力強く握っていた。
そして、ここで私は重大なことに気づく。
下半身を見ると、パンツ一丁だった。
オーマイグッドネス。なんてこったい。だから寒かったのかよ。
そのとき、先に仕事へ出ていた嫁からLINE電話がきた。「みんな大丈夫?ケガはない?」と震えた声で聞いてくる。
心臓の高鳴りがやまないまま、変に焦らせてはいけないと冷静を装い、「うん、大丈夫。(娘の名前)も誰もケガしてないよ。」と、パンツ一丁で返答した。
「とりあえず、地震はおさまったから(ズボン履くために)家入るわ。こっちは大丈夫だから、帰れるようになったら帰ってきてくれ」
家に入ってズボンを履き、抱っこ紐で娘を抱え、余震が怖いのでしばらく外で待機した。
その後、無事を確認して家に入る。家の中を見てみると、想像以上に物が散乱していた。災害が起きたとき、テレビでよく見る光景が目の前で広がっている。
どこから手を付けていいかわからないくらい、ぐちゃぐちゃだった。
スーパー、コンビニはもぬけの殻
家の中を片付けながら、NHKで災害の情報を得る。私が住む地域は「震度6弱」だった。そんなに揺れていたのか…。
今までの地震災害を思い出し、「水と食料が必要だ」と思い、車でスーパーへ向かう。
案の定、人で溢れかえっており、すでに水は売り切れ。缶詰などの保存食をできるだけ購入し、ドラッグストアへ行く。ここでも水は売り切れ。
コンビニのパンコーナー、お弁当コーナーはすっからかん。
家に水の備えは多少あったが、今後のことを考えると非常に不安だった。
結果的には、避難所で配水をたくさん貰うことができた。
初日は眠れず。続く余震に恐怖する
地震があった日は、翌朝5時まで眠れなかった。いくら寝ようとしても、震度2〜3ほどの余震が来るたびに体中に緊張が走り、飛び起きる。震源地が浅いからなのか、揺れが大きく感じる。
「いつまた大きな地震に襲われるんだろう」と考えると、心臓がドクドクと高鳴り、冷や汗が出てくる。
余震は起きていないのに常に揺れてる感覚があり、車が近くを通る振動や、空のうねり声にも敏感に反応してしまう。精神がジワジワと削られていく。これは、地震災害でもっとも辛いポイントなんだと思った。
今回の震源地は、大阪の高槻市(たかつきし)という場所。高槻に住む知人に連絡をとった。
「少し揺れるだけで怖いし、余震ですぐに目が覚めるから熟睡できない」
震源地のほぼ真上での揺れを経験し、相当なトラウマになっているという。私も同意見だ。
地震への準備不足を反省
今回の地震で、強く反省したことがある。それは、
日本という、世界的にも稀な「超・地震大国」に住んでいるという自覚が甘かった
ということだ。
根拠もなく、「自分が住む地域では、大地震なんて起きないだろう」とどこかで思っていた。守るべき家族がいるというのに、情けない。
日本人は地震に慣れすぎて、危機感が少ないのかもしれない。実際に経験してみて、準備不足は自分だけではなく、家族へ影響を及ぼすことを痛く理解した。
今すぐやってほしい地震対策
ここまで言っても、おそらくほとんどの人がどこか他人事のように感じていると思う。
だが、事が起きてからでは遅い。
「とりあえずこれだけはやっておけ」という地震対策を紹介する。
寝室にある家具の配置を見直そう
寝室に家具を置いていて、揺れで身体に倒れてくる配置になっている場合はすぐに変更しよう。大人でさえ、大きなタンスが倒れてきたら死ぬのだ。子ども場合はどうなるか、想像に難しくはない。
重い家具は特に地震対策を
冷蔵庫、食器棚、本棚など、大きくて重たい家具は今すぐに固定しよう。今回の地震では、タンスの下敷きになって亡くなった人が多い。
非常水、非常食を用意しよう
最低でも、3日分の水分は用意しよう。小さい子どもがいる場合は、ミルクなども用意しておくべきだ。保存食としては、缶詰がおすすめ。
水はこれを常備している。スーパーで買うよりもはるかにお得だ。
サバ缶なら伊藤食品のこちらが非常に美味しい。
避難所を確認しておこう
何かあってもすぐに避難できるよう、自分が住む地域の避難所を確認しておこう。
「(市町村名) ハザードマップ」と検索すれば情報が出てくる。今すぐ確認し、家族と共有しよう。
どこでも起こりうる地震。対岸の火事ではない
日本はどこでも地震が起こる。
今まで大きな地震を経験したことがない人こそ、実際に経験すると大きなパニックになると思う。そんな人こそ、今から準備しておいて欲しい。
FIFAワールドカップで日本がコロンビアに勝った熱狂で、大阪地震はすっかり忘れ去られているように感じる。当の大阪人でさえ、なんだか「イージーモード」になっている雰囲気さえ出ているのが怖い。
だが、日本政府は「今後1週間は震度6程度の地震が起こる可能性がある」と言っている。また、NHKニュースによると、
3つの活断層について政府の地震調査委員会は、いずれも全体がずれ動いた場合、マグニチュード7.0から7.5程度の地震が起きる可能性がある
とのこと。マグニチュード7なんてきたら、間違いなく地獄が待っている。まだまだ油断をしてはいけない。
あと、最後にひとつ。
寝るときは、パンツ一丁はやめておいたほうがいい。