ワークアウトハッカー(@workouthacker)です。
以前の記事『プロボディビルダー「ダラス・マカーバー」、食事をのどにつまらせ26歳で死去』でもお伝えしたとおり、ダラス・マカーバーが26歳という、あまりにも短い生涯を終えました。
彼の功績を称え、彼のボディビル人生や達成したかった夢、トレーニングなどについて読者のみなさんと一緒に振り返りたいと思います。
185cm、136kgの超大型ボディビルダー
- 名前:ダラス・マカーバー(Dallas McCarver)
- ニックネーム:Big Country
- 誕生日:1991年4月9日
- 没年月日:2017年8月22日
- 享年:26歳
- 出身:テネシー州、アメリカ合衆国
- 身長:185cm(6.1ft)
- 体重:136kg(300ポンド)
- インスタグラム:Dallas McCarver
- スポンサー:Redcon1
やはり注目すべきは彼の異次元の大きさ(バルク)でしょう。
プロボディビルダーとしては比較的長身の185cmで、体重は136kg(300ポンド)を超えたこともあります。
ボディビルでは一般的に、長身選手は不利と言われます。
身長が高いと、体を相当大きくしないと線が細く見えてしまうからです。
線が細いとボディビルでは勝てませんが、逆に多くの筋肉をつけることができれば、迫力は相当なものになります。
あのアーノルド・シュワルツェネッガーも188cmと高身長ですが、巨大な筋肉をつけて他を圧倒していました。
ちなみに、アーノルドの現役当時の体重はオフシーズンで117kg(260ポンド)だったので、136kg(300ポンド)のダラスがどれだけ巨大であったかは言うまでもありません。
超規格外のニューカマー登場に、ボディビル界が大注目
ダラスは中学と高校でアメフトをプレイし、補助としてウェイトトレーニングをおこなっていました。
ですが、だんだんウェイトトレーニングのほうが好きになり、ボディビルに興味を持ち始めたといいます。
トレーニングを続け、2011年の「NPC Hub City Fitness Quest」でコンテストデビューを果たし、見事勝利します。
その後は破竹の勢いで活躍していきます。
2012年のIFBB ノースアメリカンにて、スーパーヘビーウェイトクラスおよびオーバーオールクラスで優勝。
この大会でプロカードを獲得し、21歳で史上最年少のプロボディビルダーになります。
その後も勢いは留まることなく、2012年から2015年にかけて、5つのIFBBの大会のうち、3つで勝利します。
ここらあたりで、「なんだこの規格外の選手は?」と注目を集め始めるようになります。
2016年のミスターオリンピアでは8位入賞。
2017年のアーノルドクラシックではセドリックマクミランに続き準優勝と、上り調子のボディビルキャリアを積んでいました。
彼が生きていたら、2017年のミスターオリンピアでは、さらに上の順位に入賞していたかもしれません。
ダラスマカーバーの夢:学校を作ること
ダラスマカーバーは子どもが好きだったそうです。
ボディビルで稼いだお金を使って、経済的に恵まれない子ども達のために学校を設立するのを目標にしていました。
彼は志半ばで倒れてしまいましたが、その夢はダラスの彼女が引き継ぎ、「ダラスマカーバーファウンデーション」を立ち上げて募金を募っています。
ダラスは本当に人望があったようで、色々調べてみましたが、「彼は本当に良い人だった」というコメントが非常に目立ちました。
ダラスの友人のボディビルダー「デキスター・ジャクソン」が、インスタグラムでダラスについてコメントしています。
One of the saddest days ever for me. Dallas McCarver has passed! It hurts me so much because I was like a mentor to this young dude. I loved this dude!! He was one of the realist for sure!! He would always call me Papa and I would say I ain’t your dad! Don’t call me that! R.I.P my brother! I love you Dallas!
人生で最も悲しい日だ。ダラスが亡くなってしまった。
自分は彼にとってメンターのような存在だったからすごく苦しい。ダラスが大好きだった。彼は数少ないホンモノだよ。
ダラスは自分と会う度に、「パパ」と呼んできた。
「俺はお前のパパじゃねぇ!そう呼ぶな!」といつも言い合っていたよ。R.I.P ダラス、愛してるよ。
ダラスの破壊的なトレーニング
ダラスのトレーニングを一言でいうと、「破壊的」。これに尽きます。
彼の筋力はアメリカのプロボディビル界でもトップクラス。超高重量を軽々と扱うその姿には、畏怖の念すら抱いてしまいます。
ここでは、彼のトレーニングの様子を振り返りましょう。
スクワット 260kg
この動画では、ダラスは260kgのスクワットをしています(4:37あたり)。
重量だけでも十分バケモノなのですが、彼はバーベルをゆっくりとコントロールし、9レップもおこなっています。
つまり、260kgのスクワットを”効かせている”のです。
普段からスクワットをしている人なら、これがいかに非現実的かおわかりいただけることでしょう・・。
この様子なら、300kgのスクワットも平気でこなすのでしょうね。
デッドリフト 340kg
初めてこの動画を見たとき、開いた口が塞がりませんでした。340kgのデッドリフト、しかも5レップです。
こんな迫力のあるデッドリフトは見たことがありません。プレートをつけすぎてバーベルがひん曲がっています・・。ちなみに、日本パワーリフティング界のレジェンド「三土手大介選手」のデッドリフトの公式記録は320kgです。
ベンチプレス 220kg
この動画では、220kgのベンチプレスを6レップおこなっています。もちろんすごいことなのですが、ベンチプレス後のインクラインダンベルプレスでは、80kgを使用しているんです・・。
もちろん、スクワットと同様にゆっくりコントロールしながら。
重量は絶対にマネできませんが、フォームはとても参考になります。
ボディビル的なトレーニングは、ウェイトをコントロールするのが絶対条件であることがわかりますね。
そんな彼の破壊的なトレーニングがもう見れないと思うと、やりきれない気持ちでいっぱいになります。
おわりに:論争が起きている
ソーシャルメディア上では、彼の死について様々な噂が出回っています。
「彼はステロイドの過剰摂取で亡くなったのではないか?」というコメントがそのほとんどを占めています。
そして噂は噂を呼び、今度はダラスについていた「とあるトレーナー」が批判の的になっています。
名前は出しませんが、ググればすぐにわかります。
正直なところ、私も彼のような若者が食べ物をのどに詰まらせて死ぬとは考えにくいです。
ダラスと同時期に亡くなったボディビルダーの「リッチピアーナ」は自身のYouTubeアカウントで、「プロボディビルダーになりたいなら、ステロイドを使わなければならない状況に陥るだろう」と生前に語っています。
もちろん(というとおかしいですが)、ダラスもステロイドは使用していました。ただ、どんなタイプのステロイドを使用していたかはわかりません。それが彼の死に影響していると考える人が多いのは、普通のことのように思えます。
「プロになるには、ステロイドを使わなければいけない」という現実。
アメリカのボディビル界は、ダラスやリッチの死を無駄にせず、ステロイドの過剰使用についてもう一度深く考えるべきなのかもしれません。
参考