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【レビュー】ボディビルダー「佐藤貴規」トレーニングDVD:高重量、ハイレップを使い分ける

ボディビルダー、「佐藤貴規(さとう・たかのり)選手」のトレーニングDVDをレビューします。

数年前に購入したDVDですが、定期的に見返しています。見るたびに新たな気づきがあり、毎回新鮮です。

そしてなにより「トップ選手のハンパじゃない努力量」を再確認できるのが大きなメリット。これを見ると、「自分がいかに追い込んでいないか」という現実を直視できるので、自然とモチベーションがアップしますね。

佐藤選手のDVDを見て、新たに気づいたこと、今後意識していこうと思ったことのメモを紹介します。

全体的に共通している点

佐藤選手のトレーニングの特徴はこちら。

  • 重いウェイト、軽いウェイトを種目ごとに使い分けている
  • 重量をセットごとに変えないストレートセット法を採用している
  • ハイレップトレーニングを頻繁に取り入れている
  • トレーニングボリュームが非常に多い

各部位ごとのトレーニングを見て気づいたことを紹介していきます。

胸トレーニング:「自分の感覚を優先する」

ベンチプレス、ダンベルベンチプレス、マシンプレスなど、プレス系が多くを占めている。それぞれの種目で目的が違い、それにともなってレップ数も異なる。基本的な筋力をベンチプレスでつけている様子。

ダンベルベンチプレスでは、普通なら「肩甲骨を寄せ続けて、弧を描くように挙げる」のが一般的だが、これだとトップポジションでの収縮感は感じにくい。

佐藤選手のやり方は違う。大胸筋の収縮感を追加するために、腕を押し切ったときに肩甲骨でも押している。「こういったやり方もあるのか」と再度参考になった。

背中トレーニング:「背中は厚みが重要」

佐藤選手の背中の特徴は、とにかく横に広いこと。本当に翼が生えているかのように見える…。

では、どんなトレーニングで、広い背中を作ったのか?

ヒントのひとつに、独自のウォームアップがある。メインの種目に入る前に、ある3つの種目をおこなっている。佐藤選手が肩鎖関節や胸鎖関節を痛めやすいのと、ウォームアップをして背中に効かせやすくするために取り入れているとのこと。

昔はウォームアップの重要性をあまり認識しておらず、飛ばして見た部分だった。でも、自分も肩甲骨周辺を痛めるクセがあるので、これはすぐに真似しようと思った。

また、最初の3〜4種目をラットプルダウン系で構成している点も勉強になる。似たようなラットプルダウン種目をしていても、姿勢を微妙に変えて、狙う位置を変えている。自分が通うジムにも似たようなマシンがあり、フォームを真似たらいつもと違う刺激を与えることができた。それ以来、私のレギュラーメニューになっている。

「背中は厚みが重要」という佐藤選手。ラットプルダウン系だけではなく、特殊なフォームのダンベルローを取り入れ、厚みの強化もおこなっている。

肩トレーニング:「勝つための肩」を作るために種目を選ぶ

肩の種目はたくさんあるが、自分が得意な種目だけでメニューを構成しないのがポイント。コンテストで勝つことを大目的として、ボディビル的な肩を作るために種目を優先的に選ぶ。

肩のトレーニングは、高重量のダンベルサイドレイズからスタート。チーティングの使い方が絶妙で、体をむやみやたらに振り回しているわけでもないのがとても上手だ。

バーベルアップライトローでは、「手幅の変え方」も参考になる。

全体的に高重量を扱っているが、かなり軽い重量&ハイレップも積極的に取り入れている。ダンベルサイドレイズでの追い込みは必見。見ているだけで肩が筋肉痛になりそうだ…。

肩のトレーニングはダンベルを扱う種目が多く、重たすぎるウェイトだと軌道がブレやすい。結果、肩を狙っているはずが僧帽筋に効いていることが多々ある。
でも、佐藤選手のトレーニングはまったくブレずに肩にヒットさせている。

腕トレーニング:「高重量、軽重量で使い分ける」

上腕二頭筋と三頭筋のトレーニング。ここでも、腕も高重量、軽重量で組み合わせている。ただ、腕で高重量を扱うと、肘の怪我が常につきまとう。最近は自分も肘が痛めるケースが増えたため、高重量を扱いながらも、肘にはあまり負担がないようなフレンチプレスのフォームは参考になった。

上腕二頭筋では、重さを扱いつつ、ネガティブをかけるバーベルカールが参考になる。「肘の位置が重要」などコメントしてくれているので、見るべきポイントを見逃すことがないのはありがたい。

他にも、「効かせることを優先した種目」「収縮位で負荷をかける種目」「ストレッチをかける種目」と、それぞれ目的を明確に分けている。上腕二頭筋のメニューをどう構成したらいいか迷う人にとても参考になると思う。

脚トレーニング:「重たいウェイトを扱う」

脚を前後の筋肉で分けて、大腿四頭筋とハムストリングスをそれぞれ別でトレーニングしている。

大腿四頭筋のトレーニングでは、重たいウェイトを扱う種目、脚のカットを出すための種目を分けている。「筋肥大を狙ったものではなく、カットを出すための種目」はまさにボディビル的な発想だが、教科書にはのらないトレーニングなので、ボディビル的な体を作りたい人は必見だ。

本人は「あまり強くない」と謙遜しているが、4種目めのスクワットでは170kgを扱っている。いや、普通に強いです…4種目めで170kgて…。さらにこの日は久々にスクワットをしたということもあり、普段は190〜200kgを扱うとか。さすが日本トップクラス。

他にも「苦手な種目はハイレップから始める」など、苦手な種目や部位を攻略する方法も知ることができる。

ハムストリングスのトレーニングは、基本的にハイレップでトレーニングしている。ボリュームが多く、ハムストリングスで7種目もおこなっている。こんなにやったら翌日の筋肉痛が激しそう。プローンレッグカール(うつ伏せでおこなうレッグカール)で使用していた、「腰に効かないようにするテクニック」はとても参考になった。

DVDで学べること

トレーニング内容は6分割になっています。

  1. ハムストリングス
  2. 背中
  3. 大腿四頭筋

他にも、「トレーニング中のサプリメント摂取方法」や「苦手種目や部位を攻略する方法」なども学べます。

トレーニング以外だと、

・ゲストポージングの様子
・整体で体のケアをしている様子
・セミナー(内容は見れない)
・田代誠選手の佐藤選手にたいする評価コメント

などが収録済み。

個人的には、「ハイレップもやっていいんだ」という安心感が得られました。

というのも、ボディビル的なトレーニングでは、高重量で構成することが多く、「ハイレップでは筋肉は大きくならない」と指摘する人もいるくらい。

でも、日本のトップレベルに上りつめた選手がハイレップトレーニングを採用しているのだから、「やっぱりハイレップでもやっていいんだな」と安心できます。

残念な点も

佐藤選手のトレーニングを学べることには大満足ですが、ひとつだけ残念な点があります。それは、佐藤選手のセミナーが早送りになっていて見れないこと。

他のDVDに収録したのか、権利の問題なのかはわかりませんが、歯がゆく感じました。セミナーも見たかった…。

とはいえ、佐藤選手の特徴でもある「バッキバキの筋肉」を強調して撮影してくれているので、迫力があって非常に楽しめるDVDになっています。

トレーニングDVDを見るメリット

トップボディビル選手のDVDを見るのは、様々なメリットがあると再確認しました。

モチベーションが爆発的に上がる。

トップ選手になるにはここまで頑張らないといけないのか、とやる気が湧いてくる。「オーバートレーニングになるからセット数は少ないほうがいい」という意見もあるし、セット数を減らして発達し始めたというケースも私も体験している。

でも、やっぱりトップ選手はトレーニング量が非常に多い。どの部位でも30セット以上はゆうに超えている。

「追い込む」の本当の意味がわかる。

トップ選手の追い込みを見ることで、自分がいかに追い込んでいないか、限界を勝手に決めつけているか、痛感させられる。これがトレーニングDVDを見る1番のメリットかも。

良いイメージングができる。

トップ選手はみんなフォームがきれいで、ぶれない。軌道が安定しているので、良いイメージトレーニングができる。

自分と同じ状況なので参考になる。

肉体のレベルは違えど、「ステロイドを使わずナチュラルにトレーニングしている」という点では、多くの視聴者と同じ。このサイトを読んでいるあなたもきっとナチュラルでしょう。

このDVDを見ることで、「ナチュラルのトップ選手になるには、ここまで頑張らなければならないのか」という現実を再確認できる。ステロイドユーザーのトレーニングが参考にならないわけではないけど、やっぱりナチュラルとしては、ナチュラルのトレーニングが参考になる。

プロが編集しているので視聴者が見たい部分を映してくれている。

撮影しているのはなんといっても「MMJ」。今までロニーコールマンやジェイカトラーなど、あらゆるプロボディビルダーを撮影してきた方が担当しているため、マニアが見たいポイントを絶対に外さない。

「かっこいい体」を手に入れよう

佐藤選手の体は、ボディビル的な迫力がありつつ、シンプルにかっこいい。その理由の一つに、「細かいカット」が挙げられます。簡単にいうと、「バッキバキの筋肉」をさらにバッキバキにした感じ。日本人ではなかなかいません。迫力があり、とにかくかっこいい…。

ボディビル競技はもう引退されたようですが、もしJBBFにクラシックフィジーククラスがあれば、王者になりそうな予感…。

今、筋トレをわりと突き詰めてやっている人のほとんどは、別にボディビルダーになりたいわけではなく、「ただイカつく、かっこよくなりたい」という動機が多いのではないでしょうか。そうだとしたら、佐藤選手のトレーニングがもっとも参考になると思います。

佐藤選手のDVDシリーズ2はこちら。