トレーニングをしていると、だんだんと自分の得意な部位、苦手な部位に気づいてくるものですよね。得意な部位は何をしても効きます。でも苦手な部位は、克服するためのテクニックが必要です。
先日もトレーニング熱心な方からの質問がありました。週に2,3回しっかりとトレーニングしている方です。
「ディクラインベンチプレスが効かない。どうしたらいいか?」というものでした。
得意、苦手部位というのは、その人の骨格や筋肉の付き方によって変わります。
今回は、苦手な部位に効かせられる秘訣を教えます。
まずは、1番効く種目を探す。
ディクラインプレスどうこうは一旦脇に置いておきましょう。
まず、効かない部位をどう効かせるか??
それは、今の自分に1番効く種目を探すことです。
え??効かせられないのに、効く種目を探す?
矛盾しているかもしれませんね。でも、いくら苦手な部位だろうと、必ず何か1種目は効くエクササイズがあるものです。
今回の場合は、私の体感的に苦手な人が多い、大胸筋。胸が苦手な場合、第1種目に選択すると良いエクササイズは何なんでしょうか。
胸が苦手な人は、肩が前についている(猫背)
これは元ボディビル世界チャンピオンの杉田茂さんの本にも書いてあるのですが、肩が前についている骨格の人が悩みやすい問題です。
いわゆる、前肩タイプと呼ばれ、ざっくり言うと「猫背」です。
猫背|こんな悩みを解決|整体ならライフ・カイロプラクティックラボ|川西市(池田市・宝塚市)
日本人は骨格的に猫背が多いです。
少し難しい話しかもしれませんが、猫背だと大胸筋は何もしなくても、常に若干収縮している状態なんですね。
筋トレは可動域をなるべく広く取って(筋肉をストレッチさせて)、収縮させるのが基本ですから、骨格的に収縮させづらいのです。
ここでのポイントとしては、
プレス系ではなく、フライ系のエクササイズを選択することです。
猫背タイプがプレス系の種目をすると、主に肩の前部に効いてしまうことが多々あります。
猫背タイプは胸の種目をするうえでの基本「ブリッジ」が苦手なので、猫背の骨格のまんまプレスしちゃいます(※もちろんブリッジを習得する努力も必要ですよ)
するとどうなるか?
肩や三頭筋ばかりに効いちゃうんです。これが私が猫背タイプにプレス系種目をおすすめしない理由なんですね。
プレスの直線的な運動に対して、フライ系種目だと、円運動の動作になります。私自身苦手でしたが、フライ系の円運動をすることによって、かなり効きやすくなりました。
フライの動きに関してはこちらの動画を参考にしてください。我らがベン先生が、地球上でもっともわかりやすいフライの解説をしてくれてます(3:19から)。英語ですが動作だけでわかると思います。
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マシンやケーブルを使ってアイソメトリクス収縮を起こせ
胸が苦手な場合はプレス系ではなく、フライ系を第一種目に選択する。ここまではOKですね?もちろん他の種目で1番効くものがあればそちらを優先してもいいです。
さて、ポイントとなるのはこの次です。
ここではアイソメトリクス収縮を起こすことを目的とします。
アイソメトリクス??
と思う人のほうが多いでしょうね。ざっくりかいつまんで説明すると、筋肉が1番収縮しているポイントのことをアイソメトリクスといいます。
例えば、両手を胸の前で、祈るような形で手のひらを合わせ、そのままぐっと内側に力を入れて下さい。
どうです?大胸筋がキュッと収縮していますね?
その状態が、筋肉がアイソメトリクス収縮を起こしているという状態です。「筋肉がこれ以上収縮できないポイント」とも言い換えられます。
アイソメトリクスの状態を続けること。これが苦手部位克服には大切なんです。
難しく聞こえますが、めっちゃカンタンです。
例えばケーブルフライをするとしましょう。アイソメトリクス収縮を起こす場合、ダンベルを使うよりも、できればケーブルやマシンを使ってフライをするとやりやすいです。
ケーブルフライをするときに、大胸筋が1番収縮したポイントで、1.5秒ほど止めてください。1.5秒というのが私のポイントで、1秒は短いし、2秒だと長い。1,5秒なのです(笑)
こうすることで何が良いかと言うと、筋肉と神経の連動が「格段に」良くなるんです。
「あ、大胸筋が使われてるなあ〜」という感覚がわかりやすくなるんですね。
苦手部位の克服にはこれがとても重要なのに、トレーニングの教科書にはのってないんですよ。
ケーブルフライはこんな種目です。
1種目はパンプを溜めることだけに専念する
プレス系ではなく、フライ系を選択する。アイソメトリクス収縮を起こす。この2つができれば苦手部位なんて克服できたも同然です。
レップ数としては、15〜20RMを目安にしましょう。苦手な部位には高重量はまったく必要ありません。ちゃんと効かせられるようになるまでは、このくらいのレップ数でOKです。
(※RM=Repetition Maximumのこと。最大反復回数の意味で、12RMならば12回で限界がくる重さのこと)
この時に意識したいのは、できるだけパンプさせること。もうとにかくこれでもかというくらいパンプさせましょう。後述しますが、ここでどれだけパンプさせられるかで、次の種目の効果が変わってきます。
うまく筋肉をパンプをさせるコツとは?
パンプをさせるコツとしては、
・筋肉から負荷を抜かない
・フルレンジでやらない
の2つです。
負荷を抜かなくさせるには、ウェイトを振り回さずにゆっくり丁寧に動作をおこなうことが大切。苦手部位は筋肉と神経の連動が下手なんです。ぶんぶん振り回しても効くのは得意な部位だけ。弱点部位にはウェイトをゆっくり、コントロールしておこなうのがコツです。
2つ目は、最大可動域(フルレンジ)をあえて使わないこと。
筋トレの基本は、フルレンジでやること。これは古今東西、鉄の掟です。ですが、何度も言うように、弱点部位にオーソドックスな方法は通用しません。テクニックが必要です。
わざとレンジを短くすると、負荷が抜けにくくなります。
見ていると、ストレッチをさせすぎて、負荷が抜けてしまっている人が意外と多いです。基本がフルレンジだからといって、レンジを広げすぎてもダメなんですね。
フルレンジを短くするということがわからない人は、ウェイトを動かす可動域を小さくする意識を持つと良いでしょう。
ここまで来たら、準備OKです。
2種目にはディップスを
以上で準備は終わりました。次のエクササイズです。
ここまできたら、大胸筋がめちゃくちゃパンプアップしているはずです。なぜこの状態まで持ってくるのが大切かというと、
パンプしまくってたら、次の種目は何をしても、特に意識をしなくても効く
からです。
この状態になっていたら、次はベンチプレスだろうが、ダンベルプレスだろうが、何をしても効きます。でも、あえてここでオススメするとしたら、ディップスです。
というのも、猫背タイプの人でも何も意識をせずに効く種目だからです。
ディップスの状態だと、肩甲骨が自然と内側に寄るので、無理なく大胸筋が使われるんですね。
やってみればわかるかと思いますが、パンプさせまくった後にディップスをやるとさらに効きます。騙されたと思ってぜひ。
上手なディップスと言えば、ジェイカトラー(アメリカのプロボディビルダー)です。9:58くらいからのディップスを参考にしてください。
おわりに
まとめると、
- 胸が苦手な人は、猫背の人が多い
- 自分に効く種目を探す(ケーブルフライがおすすめ)
- アイソメトリクス収縮を起こす
- 第2種目はディップスをする
アイソメトリクスでパンプをためる→効きやすいコンパウンド、という方法は、他の種目にも応用できるテクニックです。
これを続けていくと、だんだんと筋肉の使い方がわかってきて、何をやっても効かせられるテクニックが身につきます。
そのステージに行くまでが大変ですが、苦手部位をコントロールできるようになると、トレーニングがめっちゃ楽しくなりますよ。
元ボディビル世界チャンピオンの杉田茂さんの本は、トレーニングをある程度かじっている人なら目からウロコの内容ばかり。おすすめ。