ダブルスプリットとは、筋トレを1日に2回するトレーニングルーティンです。
多くの時間と体力が必要になりますが、筋肥大効果は絶大です。アーノルド・シュワルツェネッガーなどの歴代のボディビルダーたちが、チャンピオンになるために取り入れていました。
この記事では、ダブルスプリットのメリット・デメリット、具体的なトレーニングルー−ティン例を紹介しています。これを読むことで、今日からダブルスプリットルーティンを始められます。
「今よりもっとデカくなりたい」「あの人に勝ちたい」という人は、ぜひ試してみてください。
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ダブルスプリットとは、筋トレを1日2回すること
1日に2回トレーニングをすることを、筋トレ界では「ダブルスプリット」といいます。スプリットとは「分ける」という意味で、文字どおり筋トレを2回に分けます。
ダブルスプリットは、ボディビルダーがよく取り入れています。
減量期に採用されるケースが多いですが、バルクアップ時にも使える万能な分割法です。
ダブルスプリットは年中やるわけではない
多くの場合、ダブルスプリットは特に追い込みたい時期におこないます。ボディビルダーが、1年中ダブルスプリットをしているわけではありません。
たとえば、「ボディビルコンテストまでの3ヶ月間だけ」「バルクアップ期間の2ヶ月だけ」など、期間を設定するのが一般的です。筆者の友人には、土日やゴールデンウィークなどの連休だけダブルスプリットをする、というボディビルダーもいます。
「1年中やらない」というより、「体力が続かない」「そんなに時間がとれない」といったほうが適切かもしれません。
・3回は「トリプルスプリット」
ちなみに、1日に3回筋トレをする場合は「トリプルスプリット」と呼びます。トリプルスプリットをする人はあまりいませんが、ボディビルダーの小松慎吾選手は昔1日3回筋トレをして体を大きくしたそうです。
(参考:トレーニングマガジンVol.34 P10)
ダブルスプリットルーティンのメリット
- 筋肥大効果がアップ
- トレーニングの集中力がアップ
- 消費カロリーが増える
・デカくなる
ダブルスプリットをする理由はズバリ、筋肥大の効果が大きいから。頻度を増やすことで筋肉が大きくなるのは、歴代のボディビルダーが証明しています。ボディビル元日本チャンピオンの合戸選手は、ダブルスプリットを始めて、ステロイド使用を疑われるくらい体が大きくなったそうです(参考:トレーニングマガジンVol.48 P53)。
・集中力がアップ
ダブルスプリットでは、1回につき1部位のみを鍛えるのが基本。また、セット数が減るため時間が短くなり、集中力が増えます。
特に恩恵を受けるのは脚トレです。脚は大きく大腿四頭筋とハムストリングスに分けられますが、2つを1度に鍛えるのは体力、精神的にもハード。
しかし、ダブルスプリットだと午前はハムストリングス、午後は大腿四頭筋、というように分割できます。各筋トレ時間は30〜40分ほどに減り、集中力が持続しやくなります。
・消費カロリーが増える
1日に2回鍛えるため、消費カロリーがぐっと増えます。ボディビル元日本チャンピオンの「石井直方 東大教授」は、減量期に入るとダブルスプリットを活用して体脂肪を減らしたそうです。(参考:トレーニングマガジンVol.34 P52)
実際やってみるとわかりますが、朝に筋トレをすると日中の体温が上がり、夕方に筋トレをしてまた体温が上がる状態が続くため、1日中体がほてった状態になります。
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ダブルスプリットルーティンのデメリット
- 体力・精神的にハード
- 多くの時間が必要
・やっぱりキツイ
ダブルスプリットの内容にもよりますが、1日2回のトレーニングは、体力的・精神的に大きな負担になります。長く続けると「自分はなんでこんなことをしているんだろう?」という気持ちになり、バーンアウト症候群に陥ってしまうことも…。摂取カロリーを制限している減量中はプチ地獄です。
・時間がないとできない
「時間は作るもの」とはいいますが、さすがに1日2回もジムの時間を作れる人は、そう多くはないでしょう。私の周りでダブルスプリットをしている人は、ほとんどが独身者です。私は既婚&子持ちなので、ダブルスプリットは減量を追い込む1ヶ月だけ。嫁様に怒られちゃいます。
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ダブルスプリットのトレーニングルーティン例
ダブルスプリットはこんな感じで進めます。
- 朝 or 昼に筋トレ
- 夕方 or 夜に筋トレ
基本的に、午前に1回、午後に1回です。特にこれといった正解はありません。
1日に同じ部位を筋トレする方法と、別の部位を筋トレする方法に分けられます。
1日に同じ部位を2回トレーニングする例
・週5日トレーニングする場合
午前 | 午後 | |
月曜日 | 胸 | 胸 |
火曜日 | 背中 | 背中 |
水曜日 | 肩 | 肩 |
木曜日 | ハムストリングス | 大腿四頭筋 |
金曜日 | 腕 | 腕 |
土曜日 | オフ | |
日曜日 | オフ |
▼午前はコンパウンド種目、午後はアイソレーション種目
どちらも同じ種目をするのではなく、午前は重たいウェイトを扱うコンパウンド種目、午後は中程度のウェイトでアイソレーション種目をそれぞれメインに構成します。
たとえば、胸なら次のような種目構成になります。
胸
- 午前:ベンチプレス、インクラインベンチプレス、ディップス
- 午後:ペックデック、ダンベルフライ、ケーブルクロスオーバー
背中
- 午前:デッドリフト、懸垂、バーベルロウ
- 午後:ラットプルダウン、プーリーロウ、ケーブルプルオーバー
肩
- 午前:ミリタリープレス、ダンベルショルダープレス、アップライトロウ
- 午後:ダンベルサイドレイズ、ダンベルフロントレイズ、ダンベルリアレイズ
脚
- 午前:レッグカール、ルーマニアンデッドリフト、バックエクステンション
- 午後:スクワット、レッグプレス、レッグエクステンション
腕
- 午前:バーベルカール、クロースグリップベンチプレス、ダンベルカール、スカルクラッシャー
- 午後:ケーブルカール、ケーブルトライセップスエクステンション、オーバーヘッドケーブルカール、キックバック
セット数はそれぞれ3〜4、レップスは8〜12の範囲でおこないます。なお、オフ日は自由に入れてください。
・週4日トレーニングする場合
午前 | 午後 | |
月曜日 | ハムストリングス | 大腿四頭筋 |
火曜日 | 胸 | 胸、上腕三頭筋 |
水曜日 | オフ | |
木曜日 | 背中 | 背中、上腕二頭筋 |
金曜日 | 肩 | 肩、腹筋 |
土曜日 | オフ | |
日曜日 | オフ |
基本的には週5日バージョンと似たような構成になります。こちらもオフ日は自由です。
・週3日トレーニングする場合
午前 | 午後 | |
月曜日 | プッシュ | プル |
火曜日 | オフ | |
水曜日 | レッグス | プッシュ |
木曜日 | オフ | |
金曜日 | プル | レッグス |
土曜日 | オフ | |
日曜日 | オフ |
押す系(プッシュ)、引く系(プル)、脚(レッグス)で3分割する方法もあります。
異なる部位をトレーニングする例
1回のトレーニングで100%を出し切りたい、各部位が回ってくる頻度を増やしたいという場合は、異なる部位を鍛えるダブルスプリットもあります。
午前 | 午後 | |
月曜日 | 胸 | 背中 |
火曜日 | ハムストリングス | 大腿四頭筋 |
水曜日 | オフ | |
木曜日 | 肩 | 上腕二頭筋 |
金曜日 | 上腕三頭筋 | 腹筋 |
土曜日 | 胸 | 背中 |
日曜日 | オフ |
どちらのルーティンを採用すべきか?
今のところ、1日に同じ部位を筋トレする方法と、異なる部位を筋トレする方法、どちらの効果が高いかはわかっていません。
しかし、先述したように、ボディビルの小松慎吾選手は、1日に同じ部位を2〜3回鍛えることで大きくしました。
また、海外の有名なフィットネス系ウェブサイトでも、同じ部位を鍛えるルーティンがよく紹介されています。
選ぶ基準としては、1回あたりにどれだけの時間を使えるか、という基準で決めるといいでしょう。
同一部位を鍛えるなら、各筋トレ時間は長くても40分ほどで終わります。異なる部位を鍛えるなら、しっかり追い込めるものの、各回の筋トレ時間は長くなってしまうでしょう。
時間があまり取れない・短く終わらせたいなら、同一部位のルーティン。
時間がある・たくさん筋トレしたいなら、異なる部位のルーティンを採用するといいでしょう。
ダブルスプリットの注意点・オススメの方法
ダブルスプリットをする際に注意すべき点、オススメの方法をまとめました。
1回目と2回目のトレーニングは、7時間ほど空ける
1回目のトレーニングをしたら、7時間前後の時間を作り、十分にエネルギーを回復させてから2回目をおこないましょう。
- 朝6時に筋トレをしたら次は13時
- 昼12時に筋トレをしたら次は19時
経験上、最低でも6時間は空けたほうが、体力が回復し、次のトレーニングでも集中が持続します。
朝はウォームアップを多めにする
朝は体が硬いので、重たいウェイトを扱うコンパウンド種目をする場合は注意です。
- ストレッチを入念にする
- ウォームアップセットを増やす
- 有酸素運動をして体を温める
などをして、怪我を防止しましょう。
特に、冬は体がカチコチに固まっています。私は冬の寒い朝にショルダープレスをして、首を捻挫してしまい、首が1週間ほど回せなくなりました。ウォームアップというと肩や腰を思い浮かべるかもしれませんが、筋トレでは首も無意識のうちに使っています。首もしっかりストレッチしましょう。
「朝は自宅、夜はジムで筋トレ」という方法も
「1日に2回ジムは行けないけど、ダブルスプリットをやってみたい」という場合は、家とジム、両方で鍛えるやり方があります。
とはいえ、家では器具の関係で重たいウェイトを扱えない場合が多いでしょう。
対策としては、
「ジムでは高重量を扱い、レップ数は少なめ」
「家では軽い重量を扱い、レップ数を多め」
といったようにするのがおすすめ。
もちろん、家にもジム並みの設備を整えている方は、好きなようにトレーニングできますね。
別途器具を用意する必要はありますが、ジムへの往復時間を減らせる、時間を気にせず筋トレできる、というメリットは大きいです。
角度を変えられるベンチと、重量を変えられるアジャスタブルダンベルで十分すぎる設備になるはずです。
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大腿四頭筋は2回目のほうがオススメ
マニアックですが、脚をダブルスプリットで鍛えるなら、大腿四頭筋とハムストリングスで分けて鍛える方法もあります。
鍛え分けるテクニックが必要ですが、これができると脚トレ日の憂鬱な気分が半減します。
しかし、朝イチで大腿四頭筋を鍛えるのはすこし危険です。スクワット、レッグプレスなどの種目がメインとなるため、体が硬い朝におこなうと怪我のリスクが増えます。
そのため、朝はハムストリングス→夕方は大腿四頭筋、といった流れがおすすめです。
筆者の経験だと、朝にハムストリングスを鍛えていると、良い感じに体がほぐれ、2回目の大腿四頭筋トレーニングではスムーズに動けます。
減量期はカロリーを削りすぎない
減量目的でダブルスプリットをおこなう場合、カロリーを削りすぎないように注意してください。
ダブルスプリットをすると1日のカロリー消費が増えるため、あまりカロリーを減らさなくても体脂肪は落ちていくはずです。
たとえば、減量を追い込むために1ヶ月だけダブルスプリットをする場合、それまで摂取していたカロリーを200〜300ほど増やし、体重の減少具合をチェックしましょう。
増量期は食事をたくさんとる
バルクアップを目的にダブルスプリットをする場合、たくさんのカロリーを摂取しなければ、体はなかなか大きくなりません。部活動などで1日2部練習をしたことがある人はわかるかもしれませんが、どれだけ食べても、驚くほどに体重が増えません。むしろ減ります。
筋トレも同様で、増量が目的でダブルスプリットをするなら、最低でも体重の40倍以上のカロリーは摂取するようにしましょう。
タンパク質は体重の2〜2.2倍、脂質は総カロリーに対して20〜25%、残りを炭水化物といったように設定し、体重の増加具合をチェックします。
・例:体重75kgの場合
- 総カロリー:3000kcal
- タンパク質:165g/660kcal
- 脂質:66g/600kcal
- 炭水化物:435g/1740kcal
4週間続けたら1週間はオフ or トレーニング量を少なめにする
ダブルスプリットルーティンはハードです。
4週間も続けると、筋肉だけではなく、関節やメンタルに疲労が溜まります。
そのため、4週間続けたらその後の1週間は完全オフにするか、トレーニング量を半分に減らします。
ダブルスプリットルーティンをやめ、使用重量、セット数を半分にして、関節疲労を取り除きましょう。
戦略的に疲労を抜く方法を「ディロード(Deload)」と呼びます。
海外ではディロードの概念は一般的なのですが、日本だと頑張りすぎてしまう人が多いので要注意です。