ある日、インターネットサーフィンをしていたら、衝撃的なニュースが目に飛び込んできました。
「コオロギを使ったプロテインバーが発売」
え・・・?
コオロギって、あの「コオロギ」?
公園とかでぴょんぴょんしてるやつ?
*コオロギイメージ
何かの間違いだろうと最初は疑いましたが、調べた結果、間違いなく我々が知っているあの「コオロギ」を使ったプロテインバーでした。
「ま、まじか…。そんなものが作れるのか…。てゆうかそれ、美味しいのか?」
頭を20kgのダンベルで殴られたかのような衝撃を受けた私は、商品を開発した会社「バグモ(Bugmo)」にすぐさま連絡を取ることに。
京都発のベンチャー企業ということで、以前京都で働いていた私にとってはなんだか縁を感じました。
調査を進めるうちにわかったのは、ただ注目を集めるためにコオロギを使っているのではなく、大きな社会的意義が込められた商品だということ。
「このような商品は社会に広めなければいけない・・・!」と変な正義感に駆られてしまった私。これはもうレビューするっきゃない。
ということで、この記事では「バグモクリケットプロテインバー」を実食レポートするとともに、バグモさんに直接インタビューをして聞いた商品開発コンセプトについても紹介します。
みなさん、心の準備はいいですか?
それではどうぞ!
「バグモクリケットプロテインバー」栄養成分をチェック
こちらがそのプロテインバー「バグモクリケットプロテイン」。クリケットとはコオロギという意味で、直訳すると文字通り「コオロギプロテインバー」です。直球どストライクな名前、いいですね。
記事執筆の時点では、味の種類はチョコレートと抹茶の2つ。
味のレポートは後でお伝えするとして、まずは栄養成分をチェックしていきます。
・チョコレート味
- 熱量:195kcal
- タンパク質:10.8g
- 炭水化物:23.8g
- 脂質:8.7g
- 食塩相当量:0.1g
・抹茶味
- 熱量:206kcal
- タンパク質:10g
- 炭水化物:27g
- 脂質:7g
- 食塩相当量:0.1g
どちらの味もほぼ同じ栄養内容です。
ちょうどいい栄養配分
全体的に、ちょうどいい栄養が含まれています。
まず、タンパク質の含有量は1本で10g。本気で筋トレをする人にとってはもうちょっと入っていたら嬉しいのが正直なところですが、ほとんどの人には十分な量でしょう。
炭水化物は23〜27gと、一般的なプロテインバーと同じ程度です。朝食や間食、トレーニング前後にちょうどいいですね。
脂質はカシューナッツやクルミといった、体に良い材料を使用。他にもチアシードやレーズン、ヒマラヤ岩塩など、健康的な材料がふんだんに盛り込まれています。
他にも、次のような特徴も。
- グルテンフリー
- 保存料、人工添加物なし
- 1/2日分のオメガ3
ひとことでまとめると、材料にこだわって作られたプロテインバーといえますね。
野生ではなく養殖のコオロギを使用
バグモさんは自社で養殖したコオロギを材料として使用しています。本気すぎる…。
なぜ野生のコオロギを使わないのかというと、野生の場合は土を食べており、体の中に重金属が蓄積しているリスクがあるからだそう。
「それは安全上よくないよね」ということで、養殖にこだわっているんですね。
注意:甲殻類アレルギーの人は控えよう
コオロギ(昆虫)はエビやカニと組成が似ているため、甲殻類アレルギーをお持ちの方は控えましょう。
バグモクリケットプロテインバーレビュー。その美味しさにおどろく
さて、栄養成分をチェックしたところで、いよいよ食べてみます。
「一体どんな味なんだ…。コオロギの味がするのかな?」とワクワクしながら、まずはチョコレート味からトライ。
チョコレート味
見た目はごく普通のプロテインバー。ナッツ類がもりもり混ざっていてヘルシー感が伝わってきます。これにコオロギが50匹分入ってるとは、言われなければ絶対にわかりません。
3つに割れるガイド線があるのも便利。小分けにして食べられます。
さぁ、それでは食べてみますよ・・・。
「もぐもぐ・・」
「むむっ・・・」
「おぉ・・・」
「めっちゃウマいやん。」
いや、普通に美味しい・・・!
味は濃いめのココア味という感じで、しつこくなく、甘すぎない。絶妙なポイントをついています。チョコレートの甘い匂いがするだけで、昆虫的なニオイや舌触りも一切なし。なんだこれ、本当にプロテインバーなのか…?
ナッツ類が入っているので歯ごたえがあり、1/3を食べただけでも「まぁまぁ食べたなぁ」といった、軽い満足感があります。1本を食べるだけで、小食な私には十分満足できます。
間食にはもちろん、ダイエット中なら夕食に置き換えるのもアリ。筋トレをするなら、トレーニング前の栄養補給としてもいいでしょう。
実際、このプロテインバーを食べてから筋トレをしましたが、脂質も入っているせいか、いつもよりエネルギーが長持ちする感覚がありました。
正直にいうと、「食べてるうちにコオロギの足とか手が出てきたらどうしよう・・・」とビクビクしていたのですが、コオロギはパウダー化されているためそのような心配は無用でした。よかった…。
抹茶味
では、次に抹茶味を堪能してみます。京都といえば、そう、抹茶です。
抹茶味
うん、これもウマい!チョコと同様、濃いめの抹茶味です。チョコレートに比べてしっとり感があり、また違った食感が楽しめます。
大きすぎず、小さすぎないので3時のおやつにコーヒーと一緒に食べてもいいでしょう。
ちょうどいい量の炭水化物や脂質が含まれているので、頭がシャキッとしてまた仕事に向かえるはず。
2つ食べるとお腹いっぱいに。コオロギはどこにも見当たらない。
レビューのために2つを同時に食べたら、お腹がいっぱいになりました。1本に50匹分のコオロギが使われてるので、100匹分を食べたことになりますね。
しかし、良い意味で、コオロギの要素はまったく感じません。ただの美味しいプロテインバーです。これで触覚や足などが入っていたらキツかったのですが、そんなこともなく。まぁ、ちょっとだけ期待していた自分もいたのですが…。
さて、実際に食べてみたところで、とある疑問がわいてきます。
それは、
なぜ、コオロギを使ったプロテインバーを開発したのか?
です。
プロテインバーの原材料は、大豆が使われることがほとんど。
そこをなぜ、コオロギだったのでしょう?
バグモクリケットプロテインを開発した「バグモ(Bugmo)」の共同創業者、西本さんにお話をうかがいました。
バグモクリケットプロテインバー開発者へインタビュー「誰も傷つかない社会を実現したい」
ーバグモのプロテインバーを通じて、どんな社会を実現したいのでしょうか?
西本さん:私たちの原体験となったのはアフリカでのタンパク源の不足、カンボジアでの森林伐採を目にしたことです。
現在、世界中で牛や豚を育てるためにたくさんの熱帯雨林が伐採されています。また、牛や豚はコストがかかりすぎて貧困層の方々が手に入れられない状況が続いています。
そんな中で、私たちはもっと簡単に作れるタンパク源として昆虫に注目しました。昆虫ならどんな地域でも、その国の資源や他国からの支援に頼らずたんぱく源を作ることができます。
私たちは昆虫養殖を世界中に広げることで、誰も傷つかない社会を実現します。
ーバグモのプロテインバーを開発するきっかけになった背景を教えてください
西本さん:昆虫養殖を広げる!とは言っても、そもそも昆虫の需要がない。。。ということで、昆虫を身近に食べれる商品を作ろうと考え、コオロギの「高タンパク低脂質」という特性を活かしたプロテインバーを作るに至りました。
ーライスプロテインやピープロテインなど、非肉食系の材料は複数ありますが、なぜ昆虫、そしてコオロギだったのでしょうか
西本さん:ライスプロテインやピープロテインとの違いは、昆虫は動物性プロテインだということです。必須アミノ酸を全て含んでおり、タンパク質利用効率も高く、吸収速度も早いです。
一方で、動物性タンパクでありながら、餌には米ぬかや菜種油のカスなどを与えているので、ホルモン剤などが与えられているホエイプロテインと比べても安心・安全といえます。
ーソイプロテインを使ったプロテインバーよりも、コオロギプロテインバーのほうが優れている点は何でしょうか
西本さん:ソイプロテインはたしかにアレルギーの方も食べられるし、コオロギプロテインと同じく必須アミノ酸全てを持っています。
ただ、抽出するためにたくさんの工程を踏んでいるという面で、自然な食品とはかけ離れたものになってしまっています。
一方でコオロギプロテインは抽出などはせず、非常に単純な加工工程でできているので、より自然な食材といえます。
また、発酵していない大豆には植物毒が含まれていると懸念している方もお客様の中にはいらっしゃいますので、誰でも安心して食べていただけます。
ーどんな人に食べてもらいたいですか?
西本さん:自身の体や健康に特別気を使っていらっしゃる方です。そういった方々の間食や、運動前後のプロテインがわりにオススメしております。
ー今後、コオロギプロテインを使ったプロテインパウダーを発売する予定はあるのでしょうか
西本さん:未定ですが、要望の声をお寄せいただいているので応えたいと考えています。
ー読者へメッセージをお願いいたします
西本さん:私たちが作るコオロギ由来のプロテインバーは、誰もが安心して食べられる商品を目指しました。初めは勇気がいるかもしれないですが、ぜひジムのお共にお試しください。
〜インタビュー終了〜
いやいやいや、素晴らしすぎる・・・。
西本さんは私よりも年下なのに、「人生2回目だよね?」というくらい達観していらっしゃる。自分がコオロギ以下の存在に思えてきます。もっと頑張れ、オレ。
世界初?社会貢献にもつながるプロテインバー
今回、バグモのクリケットプロテインバーを食べて感じたのは、美味しいのはもちろんのこと、「社会貢献をしている感覚がある」という点です。自分が少しだけ高貴な人間になったかのような気分も味わうことができました。そんなプロテインバー、この世に「バグモクリケットプロテインバー」だけなのではないでしょうか。
筋トレ愛好家としては、やはり気になるのはバグモさんの今後の展開。
コオロギを使ったプロテインパウダーの開発も検討しているとのことで、本当に楽しみです。
コオロギで作られているとは到底思えない美味しさの「バグモクリケットプロテインバー」、ぜひあなたも試してみては?