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カロリーを減らさず体脂肪4.5%まで減量した方法。「カーボサイクル法」のケーススタディを紹介

体脂肪が減らず、減量に悩むトレーニーへ朗報です…!

1人のボディビルダーを観測したケーススタディがあります。
減量の6ヶ月と、オフシーズンの6ヶ月間、1年にわたり以下の計測をおこないました。

・ホルモン
・筋力
・体脂肪
・機嫌
など

結論からいうと、減量中、筋肉は作られにくくなり、筋力も落ちました。
ですが、筋肉はあまり減らず、ほぼ脂肪だけが減っているのです。

ケーススタディでは、カロリーを減らさない減量方法が採用されていました。
この方法をおこなうトレーニーは多いですが、実際に研究で観測されている例はあまり見たことがありません。

この記事では、「カロリーを減らさずに減量する方法」に加えて、ケーススタディの結果も紹介します。

参考:Natural Bodybuilding Competition Preparation and Recovery: A 12-Month Case Study(PDF)

ケーススタディ 概要と結論

今回のケーススタディでは、ドラッグを使用しない、いわゆる「ナチュラルボディビルダー(1人)」を観測しています。

対象者は26歳、アメリカの白人男性。
ボディビルのアマチュアコンテストを優勝したことがあるほどの上級者です。

ボディビルコンテストに出場するまでの6ヶ月の減量期間と、コンテスト後6ヶ月の合計12ヶ月、以下の数値を計測しました。

  • ホルモン(テストステロン、インスリン等)
  • 筋力
  • 体重
  • 体脂肪
  • 除脂肪体重
    (項目はもっとありますが抜粋しています)

こちらが結果です。

  • 体重:102.8kg→88.8kg(−14kg)
  • 体脂肪:14.8%→4.5%(−10%)
  • 除脂肪体重:87.6kg→84.8kg(−3kg)
  • 筋肉を作るホルモンが減り、筋肉を分解するホルモンが増えた
  • 筋力が落ち、コンテスト後6ヶ月たっても完璧には戻らなかった
  • 減量中、機嫌がとても悪くなった

体脂肪が10%も落ちているのにも関わらず、除脂肪体重は3kgしか減っていません。除脂肪体重とは、体重から脂肪を除いた「筋肉や骨の重さ」を指します。

つまり、「カロリー量をあまり変えずに、ほとんど脂肪だけを落とした」ということ。素晴らしい…。

それではさっそく、その方法を盗んでしまいましょう。

カロリーは変えずにPFCバランスを調整

ケーススタディの被験者は、カロリー摂取量をほぼ変えずに体脂肪を減らしています。

  • 体脂肪:14.8%→4.5%

weeks−26(減量開始)からweek−2(コンテスト)まで、「Energy Intake(カロリー量)」がほぼ変わっていないのがわかります。

ボディビル選手なので筋肉量が多く脂肪が減りやすいことも要因の1つ。
ですが、「カロリーをカットし過ぎて減量に失敗する人」へのヒントにもなるかと。

2種類のカロリー設定

今回のケーススタディでは、1週間を5日と2日に分けて、2種類のカロリー設定をしています。

A(5日) B(2日)
P 36% 30%
F 28% 22%
C 36% 48%
カロリー量 2500kcal

5日間はAのカロリーを、残りの2日間はBというカロリーを摂取しています。

大きく違うのは炭水化物の量。Aでは炭水化物が低め、Bでは炭水化物が多めです。

カロリー量は変えずに、炭水化物の量を変化させる「カーボ・サイクル」というやり方です。
1週間の中で炭水化物量を日ごとに変え、代謝を活性化させます。ボディビルダーの間では人気の減量方法ですね。

なお、これら1日の食事を5回に分けて、4時間ごとに摂取しています。

トレーニング前後の炭水化物を多めに

1日の合計炭水化物の50%を、トレーニング前後で摂取しています。つまり、炭水化物量の25%を前と後で食べるということ。

例えば、1日300gの炭水化物を摂取するとしたら、300×50%=150g。つまり、トレーニング前後で、炭水化物を75gずつ摂取します。

多くのエネルギーが必要になるトレーニング前から後にかけて、食事量を集中的に増やしているってことなんですね。

体重が減らなくなったら炭水化物か脂質を減らし、タンパク質量を増やす

減量期間中は、体重の減少がストップすることは頻繁にあります。

このケーススタディでは、体重が減らなくなった場合、炭水化物もしくは脂質を、5〜10gほど週単位で減らし、その分タンパク質の摂取を増やしています。

それを続けた結果、コンテスト直前には、カロリー総摂取量の約半分をタンパク質で摂取していたようです。

コンテスト直前
  • P:46%
  • F:25%
  • C:29%

興味深いのは、コンテスト直前でも約30%は炭水化物が占めている点です。2,500kcal摂取したとすると、187gの炭水化物量になります。炊いたお米に換算すると約500g。

減量経験のある人からすると、「けっこう食べてるなぁ」と思うかもしれません。

日本でも、「カロリー量は変えず、夜の炭水化物を半分に減らし、それを朝のご飯に加える」というやり方で減量する方もいます。

ポイント
  • 2種類のカロリー設定をする
  • 食事の回数を増やす
  • 炭水化物量の50%をトレーニング前後に摂取する
  • カロリー量は変えず、炭水化物と脂質を減らし、タンパク質の割合を増やす

減量時のトレーニング

減量時のトレーニングは次のとおり。

  • 週4日の筋トレ、各1時間10分
  • 1日:ハイインテンシティ・インターバルトレーニング(40分)
  • 1日:低強度の有酸素運動(30分)
  • ポージング練習:各15〜30分、週1〜6日

筋トレは週4回、それぞれ1時間少々。大胸筋、脚、背中、肩をメインにそれぞれ鍛えています。

種目やセット、レップ数などについての記載はありませんが、なんでもいいと思います。
「筋トレをしている」ということが大切です。筋トレで痩せるわけではなく、減量のキモは食事ですし。

有酸素運動は2種類

週に2日、有酸素運動をおこなっています。1日は強度の高いインターバルトレーニングを40分。
例えば、「5分早めに走って5分は流す」といったような運動を繰り返すことです。

もう1日は、ウォーキングマシンなど、ゆっくりとした有酸素運動を30分おこなっています。

ボディビルコンテストに出場するので、ポージングの練習もしています。意外とキツイので、良い有酸素運動になるのです。


さて、次からは、ケーススタディで見られた「ホルモン値、筋力、気分」の結果にフォーカスします。

テストステロンやインスリンのレベルが減少

簡単にいうと、筋肉が作られにくい体内環境になりました。

減量開始から6ヶ月後のテストステロン値の変化です。

ホルモンレベルが下がった

  • テストステロン:9.2→2.2ng/mL
  • インスリン:6→1μU/mL
  • コルチゾール:10.5→21μg/dL

筋肉の成長に関わるとされるテストステロンは77%減。インスリンに関しても、6分の1減っています。

ここまで減るとは・・・。

さらにダメ押しで、筋肉を分解する作用のあるホルモン「コルチゾール」は2倍に増加。

たまに、1年中減量している方がいますが、むしろ「減量しにくい身体」を作っているかもしれませんね・・・

MEMO
  • 減量が長引くと筋肉が成長しにくい環境になり、脂肪が燃えにくい身体になる可能性
  • 減量は必要以上に長くしない

筋力は落ち、4〜6ヶ月かけて元に戻った

筋力の計測は、次の3種目の1RMを基準におこないました。

  • スクワット
  • ベンチプレス
  • デッドリフト
    (1RM=1回だけ持てる最大重量)

いわゆる「BIG3」と呼ばれる種目です。

コンテストまでの6ヶ月の減量期間で、著しく筋力が減っているのがわかります。

筋力:コンテストまでの6ヶ月
  • スクワット 210kg→181kg
  • ベンチプレス:161kg→147kg
  • デッドリフト:259kg→240kg

スクワットは30kg、ベンチプレスは14kg、デッドリフトは19kg、それぞれ減っています。ここまで減ったらけっこうヘコみそう。

コンテストが終わり、6ヶ月後の数値はこちらです。

筋力:コンテスト後
  • スクワット 181kg→212kg
  • ベンチプレス:147kg→150kg
  • デッドリフト:240kg→259kg

スクワットとデッドリフトは4ヶ月で元通り。ベンチプレスは6ヶ月たっても10kg戻っていません。

マックス

というかそもそもの筋力が強い…! 

ご機嫌ななめに

減量中、ものすごく「ご機嫌ななめ」になっていた様子です。

「ストレスが溜まっていますか?」など様々なQ&Aを数値化したところ、次のような結果に。

  • コンテスト前:6→43
  • コンテスト後:43→4

つまり、減量開始後からコンテスト直前まで、とにかくイライラしていたと。しかし、コンテスト後はストレスが減り、数値も減量開始時点まで戻っています。

コンテスト前後のカロリー量を見る限りでは、オフシーズンでは3,500kcalほど摂取していたと考えられます。

それを2,500kcalにまで減らし、さらに激しい有酸素運動をしていたなら、ストレスが溜まって当然かもしれません。ボディビルコンテストに出るわけですから、皮一枚まで絞り切らなければいけないですし。

一般の方が少し脂肪を落としたいだけ、腹筋を割りたいだけなら、ここまで追い込む必要はないでしょう。

ケーススタディまとめ

ケーススタディの内容をまとめます。

  • カロリー量はほぼ変えず、炭水化物と脂質を減らす代わりに、タンパク質を増やした
  • 2種類の有酸素運動をした
  • 筋肉量は3.9%しか減らず、ほとんどが脂肪で減った。減量期間中にカロリーを減らしていないのが要因だと考えられる
  • 筋力が減り、コンテスト後4〜6ヶ月でほぼ戻った
  • 休息時カロリー消費量はコンテスト直前まで徐々に減り、コンテスト後に4,000kcalまで摂取を増やすと増え始めた
  • 機嫌、免疫力ともに低下した

減量方法まとめ

今回のケーススタディで採用された減量方法をまとめます。

長期間の減量は避ける

6ヶ月以上の減量はやめておいたほうがいいかも。
やるならしっかりと期間を区切る。増量なら増量。減量なら減量。メンテナンスならメンテナンスと、メリハリをつける。

カロリー量を減らさない

カロリー摂取量は変えず、PFCバランスを調整して減量を進める。
炭水化物もしくは脂質を減らすなら、その分タンパク質量を増やしてカロリー量は維持する。

また、急激に減らさず、週ごとに5〜10gほど小さく減らしていく。

日ごとでPFCバランスを変える

1週間を基準とし、5日間は「炭水化物少なめ/タンパク質多め」、2日間は「炭水化物多め/タンパク質少なめ」というサイクルを作る。

トレーニング前後で、1日の炭水化物総量の半分を摂取する

1日の炭水化物の半分を、トレーニング前後に摂取する。

もしくは、その半分を3つに分けて、トレーニング中に「カーボドリンク」として炭水化物を摂取してもいい。バテにくくなる。

マックス

むやみやたらにカロリーを落とすのは、減量失敗の始まりだぞ・・・!

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