ヘビーデューティートレーニング(Heavy Duty Training)とは、アーノルドシュワルツネッガーの最大のライバルである、マイク・メンツァーが確立させた高強度トレーニング方法です。
ノーチラスマシンの考案者アーサー・ジョーンズがハイインテンシティトレーニング理論を唱え、それをマイク・メンツァーがさらに発展させました。
そのトレーニング内容というのは、一つの部位につきたったの1セットで終えるという当時の主流であった「ハイボリュームトレーニング」と真っ向から対立する方法論でした。(オールアウトを目指す、というところでは同じなのですが)
ちなみにこのトレーニング、初心者には不向きです。下手にマネすると怪我をします。
というのも、ヘビーデューティーでは、筋肉に的確に効かせる能力(マッスルコントロール)が必要になるからです。
色々なトレーニング方法が凝縮しているヘビーデューティー
例えば、胸のヘビーデューティーの一例だとこうなります↓
ちなみにウォームアップセットは2セットほどです。普段使っている重量の60%〜70%の重量を設定します。ちなみにこの方法は補助がいないと完全疲労まで追い込めません。
- マシンフライ…4秒かけて収縮、トップで2秒収縮、4秒かけてウェイトを戻す。これを8回繰り返す。
- まだ余裕があるようなら、レストポーズ法を使い、5秒ほど休憩して再度始める。
- 叫ぶ
- ネガティブ動作ができなくなるまで(コントロールできなくなるまで)レストポーズ法を繰り返す
- マシンチェストプレスへ移動(重量設定は同様に)
- 4秒かけてプレス、4秒かけてウェイトを戻す。これも8回。
- 余裕があるなら、レストポーズ法で追い込む
- 叫ぶ
- バタン
というような流れになります。試したことがありますが、非常に辛くてだんだん腹が立ってきます(笑)
見ても分かる通り、これは「1セットしかしない」のではなく、「1セットしかできない」トレーニングなのです。
このトレーニング、実はこれだけのトレーニング方法が凝縮されています↓
- スーパーセット(2種目している)
- ピークコントラクション(トップで止める)
- ネガティブトレーニング(ゆっくり戻す)
- レストポーズ法(数秒休憩して再開する)
- 予備疲労法(フライを先にすることで、胸を事前に疲労させてプレスにうつる)
だから1セットで追い込んで、それ以上するとオーバートレーニングになってしまうんですね。
ヘビーデューティートレーニング:メリット、デメリット
メリット
- 15分程で終わる
- 停滞期を迎えている中級者以上に良い
- 非常に高いレベルの筋肥大を経験した選手が多くいる
- 時間がなくてもできる
- 週1日、2日のトレーニングプログラムもあり応用が効く
デメリット
- 精神的につらい
- マッスルコントロールを身につけている必要がある
- 補助がいないとできない(一人でする方法もあるが、いたほうが何倍も良い)
- 体得している人が都市に集まっているので地方トレーニーには厳しい
ヘビーデューティー VS ハイボリューム
アーノルドシュワルツネッガーがミスターオリンピアを取った影には、こんな方法でトレーニングをしていたマイク・メンツァーがいたんですね。
このヘビーデューティーか、ハイボリュームのどちらがいいのかという論争は、現代では両者ともリスペクトしあっている状態といった方が正しいでしょう。結局両方とも行き着く先は「完全疲労、オールアウト」ですから。
到達地点が一緒で、行き方が違うだけです。
ヘビーデューティーをする人も、年中やっているわけではありません。普通にボリュームを上げたトレーニングもします。
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マイク・メンツァーにヘビーデューティーを直接指導してもらった日本人選手といえば、まずあがるのはストロング安田選手でしょう。あとは大阪のジャングルジムスポーツ代表の小川淳トレーナーが体得されています。ハイインテンシティトレーニング(ヘビーデューティー)についてのDVDも出されています。
私はヘビーデューティーの本を読みました。とにかく目からウロコのヘビーデューティートレーニングでした…。
ボディビルのためのトレーニングは他のスポーツとはまず目的が違って、だからトレーニング方法も異なる、ということを勉強できました。われこそはトレーニングマニアなり、という方は買って絶対に損はしないでしょう。
著書の中にもありますが、ヘビーデューティーは「ただ高重量を扱う」方法だと日本ではかなり勘違いされていると思います。
確かに重量は軽くはありませんが、マイク・メンツァーが伝えたいのはそこではなく、自分の肉体的限界をぶち破る、ということを本当に伝えたいのだと思います。
ヘビーデューティーは日本ではなかなか情報を持っている人が少ないので、こういった情報ソースは貴重です。