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パワーリフティング日本王者「大室豪槻」選手に聞く、デッドリフトの方法とフォーム

大室豪槻選手

まず、こちらのBIG3の記録をご覧ください。

スクワット:305kg
ベンチプレス:305.5kg
デッドリフト:270kg

総重量、848kg。
(※2018年11月時点)

今回、こんなとんでもない記録を持つ、パワーリフティングの日本記録保持者「大室豪槻選手」へ、デッドリフトについて取材をおこないました。

同選手はパワーリフティングの日本大会で2度優勝し、ベンチプレス・スクワット・デッドリフトにおいて、トップクラスの実力を誇る選手です。

そんな彼に、デッドリフトのフォーム・細かいポイント・練習方法など、たっぷり聞いてきました。デッドリフトを強くしたい方、背中をデカくしたい方は、きっと参考になるでしょう。

それではさっそくどうぞ!

プロフィール:大室豪槻選手

大室豪槻選手

まずは、大室豪槻(おおむろ・ごうき)選手のプロフィールや実績について。

プロフィール
  • 身長:164cm
  • 体重:82〜84kg
  • 年齢:25歳
  • 出身:岡山県
  • 競技歴:18歳から本格的にトレーニングを開始
大会実績
  • ベンチプレス83kg級元世界チャンピオン
  • 全日本ベンチプレス選手権 優勝4回
  • 全日本パワーリフティング大会 優勝2回
  • 2018年大阪ベンチプレス(ノーギア)選手権優勝
自己ベスト 2018年11月時点
  • スクワット:305kg
  • ベンチプレス:305.5kg
  • デッドリフト:270kg
    (フルギア)

さらに、豪槻選手は日本記録(83kg)を保持しています(2018年11月時点)

  • ベンチプレス:305.5kg
  • パワーリフティング総重量:848kg
    (フルギア)

実績が輝かしすぎて目が開けられない…。

簡単にまとめると、ベンチプレスやパワーリフティングで何度も日本一に輝き、ベンチプレスでは「世界一」にもなったことがあるという、国内・海外ともにトップクラスの選手です。

そして驚きなのが、まだ25歳とお若い。つまり、BIG3の記録はまだまだ伸びます…。おそろしい…。

「ベンチプレスがもっとも得意」という豪槻選手ですが、スクワットやデッドリフトにおいても一流です。
ということで今回は、デッドリフトについてお聞きしました。

記事の概要

時間のない方のためにざっくりまとめます。

まとめ
  • 重量を追求するならスモウデッドリフト
  • 背中に効かせる場合はナロースタンスデッドリフト
  • シャフトは真上に上がる
  • 自分がもっとも力が入るグリップ(握り方)を選ぶ
  • 人それぞれで適切な足幅は異なる
  • デッドリフトを引くときは後頭部から糸で引っ張られるイメージをする
  • フィニッシュのイメージをしてから挙上する
  • 背中や腰を丸めない
  • 握力が弱いなら、もっとデッドリフトをするべし
  • 上半身には力を入れない
  • 強くなりたいならトレーニング頻度を増やそう

それでは、豪槻選手に詳しく聞いていきます!

豪槻選手「デッドリフトは1番苦手」

(今回の取材は、大阪(弁天町)にある、ベンチプレス(105kg級)元日本王者の山下保樹選手が経営する「やすきジム」にて行いました)

ーそれではよろしくお願いいたします!デッドリフトについてお聞かせください。

豪槻選手「よろしくお願いします!実は、デッドリフトはBIG3で1番苦手ですね…。」

ー苦手というと、最高記録は何キロですか?

豪槻選手「公式記録だと、270kgです。」

ーえ、270kg…!?(私も270kg挙げて「苦手です」って言いたい…)

豪槻選手「ベンチはフルギアで300kg上がるので、なぜかデッドリフトよりもベンチプレスのほうが上がります(笑)。僕の場合はベンチプレスが強いので、トータル重量で差をつけることができています。」

ーだいたいデッドリフトのほうが重量は多いですよね。

豪槻選手「そうですね。でも、デッドリフトってつらくないですか?手も痛くなるし。ベンチプレスは週5日で練習しますが、デッドリフトは週1日、3〜5セットくらいしかやりません。気分によってはやらないときもあったりします。」

ー……(だから、なんでそれで270kg上がるんですか…!)

スモウとナローデッドリフトの違い「重量を追求するならスモウデッドリフト」

ーデッドリフトは「ナロースタンス」と「スモウスタイル」がありますが、パワーリフティング選手はスモウデッドリフトを採用しているイメージがありますね。

補足:デッドリフトのスタンス(足幅)は大きく2つに分かれる

  1. スモウデッドリフト:お相撲さんのように足を横に広げる。「ワイドスタンスデッドリフト」とも呼ばれる。海外でもスモウデッドリフトと呼ばれることが多い
  2. ナロースタンスデッドリフト:肩幅くらいまで足を広げる。「コンベンショナルデッドリフト」とも呼ばれる

豪槻選手「そうですね。スモウスタイルが多いです。」

ー私の場合、今までボディメイクが目的でナロースタンスを採用していたのですが、やっぱりスモウデッドリフトのほうが重量は上がるんでしょうか?

豪槻選手「はい、スモウスタイルのほうが上がると思いますよ。というか、僕はナロースタンスをしたことがあまりないですね。スモウデッドリフトだと、”重量を安全に追求できる”といったイメージがあります。もちろん、ナロースタンスで強い人もいますが、スモウのほうが下半身の力を使いやすいので、やっぱり重たい重量は上がりやすいと思います。」

ーナロースタンスについてはどうお考えですか?

豪槻選手「イメージとしては、やはり背中に効かせたい人が採用する印象があります。」

ーどちらを選べばいいか、ご自身なりの基準があれば教えてください。

豪槻選手「パワーリフティングをするんだったら、スモウデッドリフトがいいと思います。さっきも言ったとおり、重たいウェイトが上がりやすいので。あと、ナロースタンスよりは背中が丸まりにくいので少しは安全だと思います。」

ーボディメイクをするならやっぱりナロースタンスがいいと思いますか?

豪槻選手「でも、スモウデッドリフトでも背中に刺激は入りますよ。僕にとっては背中の種目という印象が強いです。ナローとスモウをどちらも一定期間試してみて、反応を確かめてみるのもありなんじゃないですかね。」

ポイント
  • 重量を追求するならスモウデッドリフト
  • 効かせるならナロースタンスデッドリフト
  • どちらも試して反応を見よう




スモウデッドリフトのフォーム:豪槻選手の場合

ーでは、豪槻選手のデッドリフトのフォームを見せていただいてもいいですか?

豪槻選手「はい、じゃあやりますね。」

ごうき選手デッドリフト

ーめちゃくちゃキレイなフォームですね…!なんだか、ムダが一切ないというか。

豪槻選手「いえいえ(汗)。でも、”スムーズさ”は大切なポイントなのかなと思います。あと、シャフトは真上に上がるイメージをしています。横から見て、弧を描いたりするのではなく、なるべくまっすぐ上がる。そのほうが、挙げる距離が短くなります。」

シャフトはまっすぐ上がる

シャフトは直線的に上がるイメージ

デッドリフトの握り方:オルタネートか、オーバーグリップか

ー握り方についてはどんな方法を採用していますか?

豪槻選手「オルタネートグリップです。」

オルタネートグリップ

オルタネートグリップ

手のひらを向かい合わせにして持つ方法 。逆に、両手の手のひらがどちらも体のほうに向く握り方を「オーバーグリップ」や「順手」と呼ぶ

ーパワーリフティング選手にはオルタネートグリップが多い印象があります。

豪槻選手「そうですね、やっぱりオルタネートグリップが多いです。手のひらが向かい合うほうが、がっちりホールドできるんですよね。手が滑りにくいというのもメリットあります。でも、パワーリフティング選手の中でも順手で握る人もたまに見かけます。人それぞれなので、もっとも力が入りやすいグリップを採用すれば大丈夫です。」

どちらかの手に筋力は偏る?

ーオルタネートグリップでどちらかの筋力が偏らないか、と不安になる方もいるようですが。

豪槻選手「それは特に感じたことはないですね。持っている重量の負荷がどちらかの手に多くかかるわけではないので、筋力がアンバランスになることはあまり心配ないと思います。僕もどっちかの前腕や広背筋が大きいといったことはありませんし。」

ポイント
  • 自分がもっとも力の入る握り方を採用しよう
  • オルタネートグリップで筋力がアンバランスになることはあまり心配しなくてもよさそう

デッドリフトの足幅は「もっとも力が入る幅で」

ーナロースタンスだと、だいたい肩幅かそれより少し広い程度が一般的かと思います。スモウデッドリフトだとどこまで足を広げるんですか?

豪槻選手「人それぞれですね。スモウデッドリフトでも、肩幅より少し広めくらいか、プレートにつま先が触れるギリギリまで開く人もいて、様々です。」

ーやっぱり、足は目一杯広げたほうがいいんでしょうか?理論上だと、ギリギリまで広げたほうが引っ張る距離が短いから重たい重量が上がりそうです。

豪槻選手「実は、そうでもないんです。広げすぎると逆に力が入りにくくなっちゃう人もいるので。自分にとって、もっとも力が入る足の場所を見つけるといいと思います。特に正解はありません。」

ー豪槻選手はどこまで広げますか?

豪槻選手「僕はこんな感じです。」

デッドリフトの足幅

つま先がプレートから10cmほど離れている

ーその足幅が豪槻選手にとって、もっとも力が入るんですね。

豪槻選手「そうですね。あと単純に、ギリギリまで広げると、シャフトを下ろすときにつま先が危ないです。それで怪我をして救急車で運ばれる選手もいますから…。」

ーデッドリフトが足に落ちてくるなんて、それこそデッドリフト(死のリフト)ですね。

豪槻選手「今、滑りましたね。」

ポイント
  • 自分にとってもっとも力が入る足幅を探す
  • 広げすぎるとシャフトを降ろすときに危険

デッドリフトを引くときの意識「天井に向かって引っ張られるように挙げる」

ーデッドリフトを引くとき、どんな意識をしていますか?

豪槻選手「僕の場合は、後頭部からすーっと上に引っ張られる意識をしています。上手くいくと、自然にウェイトが上がる感覚があります。まぁそんなに得意ではない種目なので、もっと良い方法があるのかもしれないですけどね。」

ー(いや、270kgも挙げてますやん…)。後頭部からスーッと、ですか?

豪槻選手「僕の場合は、ですね。人によって重心や挙げ方が違うので、首あたりから引っ張られるように挙げる人もいます。実際にどんなやり方が自分に適切かは、フォームを細かく変えてやってみないとわかりません。後頭部や首元から引っ張られる意識を試してみるといいと思います。たぶん、何セットかやっていくうちに「あ、今のは軽く引けたな」と感じる瞬間があるはずなので、それを自分のフォームとして採用するといいと思います。」

ー中には、膝あたりまでを「ファーストプル」、膝から上に引くときは「セカンドプル」として分けて考える選手もいるようですが、豪槻選手はどうですか?

豪槻選手「僕はそういったことは考えません。むしろ、下半身と上半身は連動して、同時に動かすほうがいいんじゃないかと思っています。分けて考えてしまうと、うまく連動しないというか。ただ、僕はデッドリフトは苦手種目なので、そこまで考えることに比重を置いていない、というのもあるかもしれません(笑)。ファーストプル、セカンドプルといった考え方をする選手もいらっしゃるので、やっぱり人によって違うんだと思います。どちらも正解ですね。」

ー(だから比重を置かないで270kgも挙げるんかい…)。引くときの目線は何か意識をしていますか?

豪槻選手「まっすぐ前を見ています。」

目線はまっすぐ

挙げるときはまっすぐ前を見る

ーこれもやっぱり選手によって違いますか?

豪槻選手「そうですね。でも、やっぱりまっすぐ見る人が多い印象です。下を向きすぎると背中が丸くなりますし、上を向きすぎると背中が反りすぎる。デッドリフトでもっとも注意しなければいけないポイントです。」

ポイント
  • 豪槻選手の場合は「後頭部からスーッと挙げる」意識をする
  • 上半身と下半身は連動して挙げる
  • ファーストプル、セカンドプルはあまり考えていない
  • 目線はまっすぐ前を見る
  • 腰は絶対に丸めないこと

シャフトを挙げきったとき、上半身は力を抜いている

ーデッドリフトを引いた後の意識は何かありますか?

豪槻選手「シャフトを挙げきったときには上半身の力を抜くようなイメージをしています。」

上半身の力は抜く

上半身の力を抜く

ー上半身の力を抜く、ですか。腕の力も抜くんですか?

豪槻選手「もちろん、シャフトを握るので力は入ってるんですけど、肩を上げたり、すくめたりしないということですね。パワーリフティング選手のフィニッシュを見るとわかると思います。みんな、立ち上がったときには肩がだらんと下がってるんです。

ー言われてみればたしかに。

豪槻選手「単純に、肩を上げると余計な力が入ってしまいますし、上半身はフィニッシュのイメージだけを残して、あとは脱力する感覚を意識しています。」




デッドリフトの練習メニュー

ーデッドリフトの練習メニューを教えてください。

豪槻選手「週1回、3〜5セットくらいです。」

ーえ、それだけですか??

豪槻選手「はい、さっきも言いましたけど、デッドリフトってキツいじゃないですか。シャフトを握ると手も痛いし。気が向かなかったらやらないときもありますよ(笑)。」

ーなんと……重量はどのくらいを扱いますか?

豪槻選手「僕は基本的に家で練習することが多いんですが、家だと重たいウェイトを使うと床が壊れてしまうので、100kgくらいで技術的な面を練習します。フォームだったり、引き方の意識だったり。あとは、重たいウェイトを使う練習をしたい場合は、フィットネスジムにいってやりますね。」

ーレップ数はどのくらいですか?

豪槻選手「5レップ前後です。」

ートータルでみるとかなり練習量が少ないように見えますね…。

豪槻選手「そうですね、僕の強みはやっぱりベンチプレスなんで、そこに比重を置きたくて。仕事もありますから、あれもこれもはできません。優先順位をつけて練習をしています。」

ーでは、デッドリフトを集中的に伸ばしたいという場合は、ベンチプレスのように毎日やりますか?

豪槻選手「僕はデッドリフトがあまり好きではないのでやりませんが(笑)、本気で伸ばしたいなら頻度は増やすほうがいいと思います。僕はベンチプレスは週5日でやっているので。」

ポイント
  • デッドリフトは週に1日
  • 3〜5セット、5レップ前後でおこなう
  • デッドリフトを伸ばしたいならトレーニング頻度を増やすべし

初心者が注意すべきポイント:背中や腰を丸めない

ーデッドリフトで、初心者がやってしまいがちなポイントなどはありますか?

豪槻選手「やはり、背中や腰が丸まってしまうことですかね。これらの部位が丸くなると、一気に怪我の危険性が増えます。」

ーどうしたら背中や腰の丸まりが防げると思いますか?

豪槻選手「シャフトを持ったときに、胸を軽く張るのが大事だと思います。シャフトを握って、肩にはあまり力を入れずに、肩甲骨を軽く寄せる。」

軽く胸を張る

軽く胸を張る

豪槻選手「そして、シャフトを持ち上げたときのフィニッシュのイメージをすることも重要だと思います。あとは、無理な重量を扱わないことですかね。自分が持てない重量を扱うと、フォームが崩れてしまうので危ないです。」

ポイント
  • シャフトを握ったときに胸を軽く張る
  • 無理な重量を扱わない

握力が弱くてデッドリフトが引けないときは、さらにデッドリフトをする

ー握力が弱くてデッドリフトが引けない、という方へのアドバイスはありますか?

豪槻選手「やっぱりデッドリフトをするしかないと思います。」

ーシンプルに。

豪槻選手「はい、僕の場合、デッドリフトのための補助種目はしていないので、デッドリフトだけで握力を鍛えている感じですね。」

ーリストカールといった種目も、一切なしですか?

豪槻選手「はい、デッドリフトだけです。ただ、パワーリフティングの大会でもデッドリフト中に手からシャフトが滑って落ちてしまう選手もいますよ。僕がデッドリフトに力を入れていないだけなのかもしれませんが、デッドリフトのための握力はデッドリフトでしか強くならないんじゃないかなと思います。」

ー挙がらなくなったら重量を下げればまた持てますもんね。お時間をいただきありがとうございました!

豪槻選手「こちらこそありがとうございました。」

ポイント
  • デッドリフトの握力はデッドリフトで鍛えるべし

まとめ

かなりのボリュームでしたが、あなたにとって何か学びはあったでしょうか?

今回学んだ内容をまとめます。

まとめ
  • 重量を追求するならスモウデッドリフト
  • 背中に効かせる場合はナロースタンスデッドリフト
  • シャフトは真上に上がる
  • 自分がもっとも力が入るグリップ(握り方)を選ぶ
  • 人それぞれで適切な足幅は異なる
  • デッドリフトを引くときは後頭部から糸で引っ張られるイメージをする
  • フィニッシュのイメージをしてから挙上する
  • 背中や腰を丸めない
  • 握力が弱いなら、もっとデッドリフトをするべし
  • 上半身には力を入れない
  • 強くなりたいならトレーニング頻度を増やそう

マックス

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取材協力:やすきジム(大阪)
ホームページ:https://8sukigym.com/

今回の取材は、ベンチプレス105kg級元日本王者、山下保樹選手が経営する「やすきジム」にて行いました。
やすきジムは大阪(弁天町)にあり、大阪市内に住む人だけではなく、京都など他の関西圏から通う人がいるほどのパワーリフティングジムです。

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